※世界日報社は米紙クリスチャン・サイエンス・モニターと提携しています。

2009年4月27日

締め付けを強化する中国

天安門事件20年、建国60周年を意識/ニュースもネットから削除

趙紫陽氏墓参で襲撃事件も

 死者を供養する「清明節」の今月四日、山東大学の孫文広・元教授が何者かに襲われ、重傷を負うという事件が発生した。一九八九年の天安門事件で失脚し、十六年間続いた自宅軟禁後の二〇〇五年一月に死去した趙紫陽・元共産党総書記の墓地を訪れたところ、襲撃を受けたのだ。また、ある人気コメンテーターのウェブサイトでも、趙元総書記の軟禁を批判する書き込みが行われた後に閉鎖された。

 中国当局の重要な日常業務の一つは、検閲官が不適切と判断するような政府批判につながりかねない論調を見つけ出し、ウェブサイトから削除することにある。今月上旬のわずか十日ほどの間に連続で発生したこれらの事例は、中国政府が今年開催される政治的に重要な一連の式典に備え、反政府暴動を引き起こしかねない、いかなる芽をも事前に摘み取るという意思の現れであると見ていい。

 昨年開催された北京オリンピックが無事に閉幕したことで、中国の民主化を求める国民は締め付けが緩むことを願っていたが、その期待は見事に裏切られた形だ。

 先月、上海に近い蘇州のインターネット検閲官が、一年以上も掲載され、何の問題も生じていなかった記事に対して、突然異議を唱え始めた。ウェブサイトを閉鎖された北京理工大学経済学教授の胡星斗氏は「状況は後退している」と批判した上で、「現在の厳格な検閲体制は今年開催される式典に関連して起こっており、将来にわたり継続しないことを望む」と語った。

 政府高官らが神経質になっている理由は、政治的に重要な二つの式典が予定されているからだ。六月四日、民主化を求める学生らを武力弾圧し、数百人の死者を出した天安門事件から今年で二十年を迎える。十月一日には建国六十周年記念式典が行われる予定だ。

 「政府は特に神経をとがらせて警戒態勢を取っている」。山東省の済南にある趙元総書記の墓で、肋骨ろっこつ三本を折られた孫元教授はこう語った。包み隠さずに話す勇敢な民主活動家の孫元教授によれば、警備のために同行していた五人の警察官が襲撃を受けた場所から約四十五メートルほどの距離に駐車していたという。「警察官らは逃げてしまい、暴行を止めようとはしなかった」と孫元教授は病院のベッドで証言した。

 孫元教授は、中国の公式の歴史から抹殺された趙元総書記を追悼するために二〇〇五年以降毎年墓参りをしてきたという。大規模な民主化運動が勃発ぼっぱつすることを恐れ、鎮圧を強化している政府当局は、暴力的な手段で墓参りを阻止しようとしたのではないかと孫元教授は推測する。

 一方、首都圏の大手タブロイド紙「北京ニュース」は、孫元教授が襲撃された事件を慎重に言葉を選んで報じたが、それさえも政府が過敏に反応し、翌朝までに新聞社の公式ウェブサイトから削除された。検閲官の指示があったことは明らかだ。

 孫元教授に対する弾圧、北京ニュースへの検閲、そしてウェブサイトの閉鎖のいずれにも地方政府がかかわっているのは事実だが、「社会秩序を維持し、社会騒乱の動きを未然に防ぐことは地方政府の役目だと中央政府は主張している」と胡氏は指摘し、地方に責任を押し付けているという見方を示した。

 「建国六十周年の式典後、状況が改善されることを皆が望んでいる」。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(本部ニューヨーク)の香港調査員を務めるニコラス・ベクリン氏はこう語る。「永遠に国民を締め付け続けることはできない」(ベクリン氏)。

 さらに、ベクリン氏は「刻一刻と変化する社会の動きをもはや誰にも止めることはできないだろう。しかし、最短距離で法治国家に向かうのではなく、紆余うよ曲折を経ることになる。現在の状況は間違いなく後退局面にある」と語った。

(米紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」特約)