ロシア疑惑 トランプ陣営の共謀「証拠なし」


司法妨害、長官が立件否定

 ロシアによる2016年米大統領選介入疑惑で、バー米司法長官は24日、モラー特別検察官がまとめた捜査報告書の概要を公表した。焦点だったトランプ大統領や関係者とロシアとの間に共謀があったかどうかについては、「証拠は見つからなかった」と結論付けた。トランプ氏が司法妨害を行ったかについては、モラー氏は判断を示さなかったが、バー氏は「証拠は不十分」とし立件しない考えを示した。

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ホワイトハウスで記者団に話すトランプ米大統領 24日、ワシントン(AFP時事)

 捜査結果の公表を受け、トランプ氏は、記者団に「共謀も司法妨害もなかった。全てにおいて完全なる潔白を示すものだ」と述べた。ロシア疑惑を「魔女狩り」と繰り返し批判してきたトランプ氏にとっては来年の大統領選に向け、好材料となりそうだ。

 バー氏は24日、書面4枚にまとめられた概要を議会に報告するとともに公表。「トランプ陣営のメンバーが、ロシア政府が、共謀、あるいは連携したことは確認できなかった」と説明した。捜査は、19人の弁護士や約40人のFBI捜査官らによって行われ、その中で2800人以上に召喚状が発行されたと明らかにした。

 ロシア政府と関係の強い組織が、インターネットのソーシャルメディアを通じ偽ニュース広めたり、ロシアとつながりのある人物がトランプ陣営に協力を申し出たと認定。しかし、トランプ陣営との協力関係を裏付ける証拠はないとした。

 トランプ氏による司法妨害に関し、報告書は違法性をめぐる判断を示さず「大統領が犯罪行為をしたと結論付けないが、それによって嫌疑が晴れたわけではない」と記載した。これを受け、バー氏はローゼンスタイン司法副長官と相談し、捜査で得られた証拠に基づき「大統領による司法妨害を立証するには不十分」と判断を下した。

 一方、野党・民主党のナドラー下院司法委員長は、バー氏が公表した概要について「党派的な解釈が入る可能性があるものに頼って判断することはできない」と主張し、モラー氏による報告書全文公開を求め、バー氏を委員会招致する考えを明らかにした。

(ワシントン 山崎洋介)