宇宙軍創設、監視網強化 米、中露へ対抗鮮明


サイバー 攻防能力向上

 米国防総省は12日、2020会計年度(19年10月~20年9月)の予算案の詳細を発表した。総額は7180億㌦(約80兆円)で、宇宙分野に前年比15%増の141億㌦、サイバー分野に同10%増の96億㌦を要求。両分野で軍事開発を進める中国やロシアに対抗する姿勢を鮮明にした。

 国防総省は、予算案に関する文書の中で「中国、ロシアは将来の高度な技術による紛争に備え開発を推進し、米国の影響力を削(そ)ごうとしている」と警戒。研究開発費に「過去70年で最大」(シャナハン国防長官代行)となる1043億㌦を計上した。

 宇宙分野では、トランプ氏が決定した宇宙軍の創設に7200万㌦を配分。ミサイル監視網や宇宙への打ち上げ能力も強化する方針だ。サイバー分野では、ネットワークの弾力性を高め防御力を強化するとともに、攻撃能力の向上も図るとした。

 また、最先端分野の研究開発費として、中国やロシアが開発する極超音速兵器に26億㌦、レーザー兵器などの指向性エネルギー兵器に2億3500万㌦を盛り込んだ。このほか、無人機関連分野に37億㌦、人工知能(AI)分野に9億2700万㌦をそれぞれ要求した。

 シャナハン氏は声明で、「この予算は、大国間の競争において今後数十年間、米軍を強い立場に置くだろう」と強調。トランプ政権が競争相手と位置付ける中露に対抗する上で、優位性をもたらすとした。

 トランプ政権は11日に発表した予算教書で2020年度の防衛費として7500億㌦を計上。このうち、国防総省が7180億㌦で、核兵器を維持管理するエネルギー省などへの予算が320億㌦となっている。

(ワシントン 山崎洋介)