米政権、壁建設に86億ドル


予算教書で要求 米報道

 トランプ政権は11日に発表する2020会計年度(19年10月~20年9月)の予算教書で、メキシコ国境の壁建設費として86億ドル(約9600億円)を要求する方針だ。複数の米メディアが10日、報じた。議会が19年度で認めた13億7500億ドルを大幅に上回る。壁建設をめぐる与野党の対立が再燃することが予想される。

 クドロー国家経済会議(NES)委員長は10日、FOXニュースのインタビューで「壁と国境の安全警備の問題が最も重要だ」と述べ、壁予算の要求をする方針であることを認めた。また、財政赤字を減らすため歳出全般について5%程度削減する考えも示した。

 一方、民主党上下院のシューマー、ペロシ両院内総務は10日の共同声明で、19年度の予算で議会がトランプ氏の求める57億ドルの壁建設費に応じず、「(トランプ氏は)敗北を認め、政府を再び開くことを余儀なくされた」と強調。「もう一度試みるなら、同じことが自動的に繰り返されるだろう」と牽制(けんせい)した。

 トランプ氏は9日のツイッターで、「極左の民主党員は反対するが、私は国境で勝ち、壁建設は進められている」と強調。「他の大統領だったら、何百万もの不法移民が流れ込んだだろう。私は壁を建設することでそれを阻止している」と主張し、2020年の大統領選をにらみ支持者にアピールする姿勢を強めている。

(ワシントン 山崎洋介)