「全てを失う」 米大統領が警告


ベネズエラ軍に暫定政権支持求める

 トランプ米大統領は18日、訪問先のフロリダ国際大学(米・マイアミ)で混迷を続けるベネズラ情勢に関して演説を行い、反米左派マドゥロ大統領支持を続ける軍関係者に対して「マドゥロ大統領を支持し続ければ全てを失うだろう」と警告し、グアイド国会議長を暫定大統領として受け入れるように促した。

トランプ大統領

18日、米フロリダ州マイアミで演説するトランプ大統領(EPA時事)

 トランプ氏の演説は、特にマドゥロ政権の支持基盤となっているベネズエラ軍高官にあてたもの。「恩赦を与えるというグアイド暫定大統領の申し出を受け入れて、家族らと共に平和な日々を過ごすべきだ」などと訴えた。

 また、グアイド氏と野党関係者、反政府デモの参加者らに対する安全が保たれるように要求。グアイド氏らの安全を保証し、暫定政権への支持を明確にすれば、トランプ氏とグアイド氏は軍関係者に対する報復は行わないと約束した。

 米当局は、ベネズエラの軍幹部が海外に保有している隠し資産などを把握しており、軍幹部らがマドゥロ氏支持を続ける場合、これら資産を凍結する用意もあるという。

 さらに、トランプ氏は、「米国は平和的解決を望むが、あらゆる選択肢も用意している」と述べ、軍事介入を排除しない考えを再度明確にしてマドゥロ政権に圧力をかけた。

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マドゥロ大統領支持派のベネズエラ軍兵士たち=2日、カラカス(UPI)

 トランプ氏の発言に対して、マドゥロ氏は「まるでナチスのようだ」「われわれの軍に対する侮辱だ」と批判した。

 ベネズエラでは、マドゥロ大統領による軍の視察や演習などが増えている。軍高官の離反や一部の軍人によるクーデター未遂などが起きていることから、マドゥロ政権の支持基盤となっている国軍との関係を緊密にすることが目的だ。

 一方、トランプ氏は、米国がコロンビアに搬送した食料や医薬品などの人道支援物資をベネズエラ政府が受け入れるように改めて要求した。

米国は、民間機や軍用機などを利用してベネズエラとの国境沿いにあるコロンビアのククタに支援物資を送り込んでおり、倉庫には数十トンの支援物資が積まれている。

 ただし、マドゥロ氏は「支援物資は政権転覆を狙う米国の陰謀だ」と批判、国境をつなぐ幹線道路を封鎖して支援物資の搬入を阻止している。

 財政が破綻しているベネズエラでは、食料や医薬品が極端に不足、グアイド氏は「このままでは多くの国民が飢餓と餓死に直面する」と支援物資を拒み続けるマドゥロ政権を批判。幹線道路が封鎖されている中、グアイド氏は100万人のボランティアを使って支援物資をベネズエラ国内に持ち込むと表明しており、すでに60万人がボランティアに署名している。

(サンパウロ綾村悟)