緊急事態の不承認に拒否権


米大統領補佐官、議会を牽制

 メキシコ国境の壁建設をめぐりトランプ米大統領が非常事態を宣言したことをめぐり、ミラー米大統領補佐官(政策担当)は17日、FOXニュースのインタビューで、議会が非常事態宣言に不承認を決議した場合、トランプ氏が拒否権を発動する考えを示し、議会の動きを牽制(けんせい)した。

米・メキシコ国境沿いの壁

米アリゾナ州ナコの米・メキシコ国境沿いの壁の改築作業現場=2月14日(UPI)

 トランプ氏の非常事態宣言に対しては、民主党議員らが「違法」だとして反発。一方、共和党議員は支持する議員も多いが、将来民主党大統領が「グリーン・ニューディール」などのリベラルな政策を実現するため利用する「悪しき前例となる」と懸念する声も上がる。

 米メディアによると、民主党は数週間のうちに非常事態を無効にする決議を提出する準備をしている。上院では共和党が多数派を占めるが、造反議員が出れば、可決する可能性もある。

 トランプ氏が拒否権を発動すれば、政権発足後で初となるが、ミラー氏は番組で、議会で不承認の決議が可決された場合の対応について、「大統領は間違いなく非常事態宣言を守るだろう」と指摘。トランプ氏が拒否権を発動するとの考えを示し、2020年末までに、何百㌔もの新しい障壁が国境に沿って造られるだろう主張した。

(ワシントン山崎洋介)