米、マドゥロ政権に圧力強化


ベネズエラ国営企業に制裁

 トランプ米政権は28日、ベネズエラのマドゥロ反米政権による不正に関与したとしてベネズエラ国営石油会社(PDVSA)を制裁対象に指定した。米国内の資産約70億㌦(約7600億円)が凍結され、米国人との取引が原則禁止される。ベネズエラの輸出収入の大半を占める石油産業に打撃を与えることで、マドゥロ政権に退陣するようさらなる圧力をかけた形だ。

ムニューシン米財務長官(中央)とボルトン大統領補佐官(左)

記者会見するムニューシン米財務長官(中央)とボルトン大統領補佐官(左) 28日(AFP時事)

 米政権は、この措置により来年ベネズエラに110億㌦以上の輸出収入の減少をもたらすと予想する。ただ、米経済への悪影響の懸念もあることから、「一定期間はPDVSAの一部取引や活動を許可する」とした。これに対しマドゥロ大統領は激しく反発している。

 米政権は既に、マドゥロ氏ら政権幹部に資産凍結などの制裁を科している。トランプ政権は、主要な野党候補者を排除して再選したマドゥロ氏の2期目就任を承認せず、野党が多数派を占めるベネズエラ国会のグアイド議長を暫定大統領に認定している。

 同日、ホワイトハウスで記者会見したムニューシン財務長官は「米国はベネズエラを悲劇的な衰退に陥れている人々に責任を負わせる」と強調。「グアイド暫定大統領や国会、ベネズエラの人々の民主主義を取り戻す努力を支援するために、引き続き外交、経済的手段を用いる」と述べた。一方、制裁による米国の製油会社への影響は最小限にとどまるとした。

 ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は会見で、「米国はベネズエラの治安部隊に対して、米外交官やグアイド大統領の安全に責任を持たせる」と述べた上で、もし危害を加えれば「重大な対応をする」と警告。軍事行動を含めさらなる圧力を加える予定があるかと問われ、「すべての選択肢がテーブルの上にある」と述べた。

(ワシントン山崎洋介)