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米のアジア関与、政府と議会一体で対中圧力を


 米国でこのほど、アジア諸国との安全保障や経済面の包括的な協力強化を盛り込んだ「アジア再保証推進法」が成立した。

 人権や国際法の尊重重視

 同法には、中国や北朝鮮の脅威への対処や、東南アジア諸国の海洋警備や軍事訓練などへの支援のため、2019年~23年度に各年度15億㌦(約1650億円)の予算を投入することが盛り込まれた。

 中国は南シナ海で国際法や他国の領有権主張を無視し、軍事拠点化を進めている。米軍は同法に基づき、航行や飛行の自由を維持する作戦を定期的に実施する。今年に入ってから、米軍イージス駆逐艦「マッキャンベル」が、中国が領有権を主張する南シナ海・パラセル(西沙)諸島の12カイリ(約22㌔)内で「航行の自由作戦」を行った。中国の覇権主義的な動きを抑える上で、米軍のプレゼンス強化は欠かせない。

 また台湾に関しては、武器売却や高官派遣などを進めるとしている。これに対し、中国外務省は「(中国大陸と台湾が一つの中国に属するという)『一つの中国』政策に違反し、中国の内政に干渉しており、強烈な不満と断固たる反対を表明する」と批判した。

 中国の習近平国家主席は今年に入ってからも、台湾政策について「武力使用を放棄することは承諾できない」と述べるなど、中台統一への強い意欲を示している。習氏は、高度な自治を認める「一国二制度」による統一の具体案を検討するとした。

 しかし、香港では一国二制度が形骸化して中国政府の政治的圧力が強まっている。台湾の蔡英文総統は「われわれは一国二制度を断じて受け入れない」との考えを表明した。

 共産党一党独裁体制の中国と民主主義が定着している台湾が統一することには無理がある。台湾と価値観を共有する米国が中国を警戒し、台湾への関与を強めるのは当然だ。

 さらに、同法ではルールに基づく経済秩序を目指す「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現を目指すとしている。人権尊重や国際的な法規範を重視する考えも示した。いずれも中国を牽制(けんせい)するものだと言えよう。

 同法の成立は中国に対する強硬方針が米議会の総意となったことを示したものであり、トランプ大統領が対中政策で安易な妥協をしないための足かせにもなり得る。

 一方、トランプ氏としては議会を後ろ盾に、自らの対中強硬政策をより実施しやすくなる。いずれにせよ、米国の政府と議会が一体となって中国に圧力をかけるべきだ。

 日豪印との連携で対応を

 同法は、日本やオーストラリアなど同盟国との防衛協力やインドとの戦略的パートナーシップの強化を図るとしている。インドについては「武器の売却や技術協力を最も親しい同盟国と同じ水準に引き上げる」と強調した。

 中国はシルクロード経済圏構想「一帯一路」に沿ったインフラ整備や経済援助などでインド太平洋地域での影響力を高めている。日米豪印は地域の安定と繁栄のために、連携して中国に対応する必要がある。