米専門家提言、日本は同盟での役割拡大を


 米国のアーミテージ元国務副長官やナイ・ハーバード大教授ら超党派の外交・安全保障専門家グループは、米政府の対日政策や日本政府の取り組みに関する提言「21世紀における日米同盟の刷新」を発表した。

 防衛支出拡大に言及

 知日派である両氏は2000年と07年、12年にも日米同盟強化を柱とした提言を発表している。4回目6年ぶりとなる今回は、日米同盟について「重要性はかつてなく増している」と指摘。さらなる強化に向けた具体策を列挙している。

 提言では、内向き志向を強めるトランプ米政権に代わり、日本がアジアでより強いリーダーシップを発揮することが必要だと訴えるなど日本の役割拡大に期待を示した。日米同盟は日本防衛のためにだけ存在するのではない。地域の平和と安定に寄与する公共財だ。

 強引な海洋進出を進める中国を念頭に自衛隊と米軍は東シナ海や南シナ海で共同訓練を行っている。先月は海上自衛隊の潜水艦が南シナ海で訓練を実施した。日本はこうした実績を積み重ね、日米同盟における役割拡大を進めるべきだ。

 さらに提言では、中国の軍備拡大と北朝鮮の核・ミサイルの脅威を強く意識した上で、日本が防衛支出を国内総生産(GDP)比1%以上に拡大することが必要だと指摘した。防衛費増額に関しては、自民党も北大西洋条約機構(NATO)加盟国が目標とする「GDPの2%」を参考とするよう求めている。確かに、日本を取り巻く安保環境が悪化する中で「1%枠」にこだわる必要はないはずだ。

 また中国の脅威に対抗するため、在日米軍と自衛隊が基地統合を進めるとともに、日米が西太平洋に共同統合機動部隊を創設して台湾、東シナ海、南シナ海での偶発的な衝突に対応できるようにするなど、意思決定の速度や部隊運用の効率性を高めるよう訴えた。

 北朝鮮についても「核兵器と弾道ミサイルは日米韓の3カ国にとって現存する脅威のままだ」として、米韓合同軍事演習などを不完全な非核化のための交渉材料とすべきではないと指摘。3カ国による合同演習の強化を提案した。こうした提言は的を射ていると言えよう。

 経済面では、日本が米国抜きの「包括的および先進的環太平洋連携協定(TPP)」(CPTPP)を主導したことを評価。2国間やアジア太平洋経済協力会議(APEC)など多国間の対話を通じ、中国がインド太平洋地域で影響力を拡大することに対抗するよう訴えた。また、中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」を意識したインフラ基金設立も提言した。

 地域での存在感高めよ

 提言は、日本が米国の戦略を支援することからさらに一歩進んで「地域秩序を守る真に対等なパートナーかつリーダー」として「米政権が短期的にそっぽを向いている間にも日米が共有する目的を前進させなければならない」と強調している。

 「米国第一」を掲げるトランプ政権が保護主義的、孤立主義的な政策を進める中、日本は地域での存在感を一層高めていく必要がある。