ブラジル大統領選、ルラ元大統領が出馬断念


支持率トップも汚職で収監

 ブラジル労働党は11日、10月の大統領選で、現在、収賄罪で収監中の元大統領ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ被告(72)の立候補申請を取り下げ、副大統領候補のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長を大統領候補に繰り上げると発表した。

ルラ氏

ブラジル大統領のルラ被告=1月16日、リオデジャネイロ(AFP時事)

 左派系のカリスマ政治家として知られるルラ被告は支持率トップ。しかし、選挙高裁は先月末、ルラ被告の立候補届けを無効とする判断を下していた。ルラ被告側は、最高裁に無効判断の取り消しを求め上告していたが、選挙高裁が設定した立候補変更届けの締め切りが迫っており、労働党は「党の顔」でもあるルラ被告に代わる候補を早急に立てる必要に迫られていた。

 一方、ルラ被告が出馬撤退を決めたことで、ブラジルの大統領選は先の見えない戦いとなっている。世論調査会社ダッタ・フォーリャが10日に発表した調査によると、右派のボウソナロ議員が24%で首位、左派のシロ・ゴメス元財務相が13%、マリナ・シルバ元環境相が11%、ジェラルド・アルキミン元サンパウロ州知事が10%と続いている。

 労働党候補のアダジ氏は、知名度が低いこともあって9%に留まったが、ルラ氏の撤退を受けて、票がアダジ氏に流れる可能性も十分にある。

 ルラ被告は、大統領在任中にブラジル大手の建設会社に便宜を図った見返りとしてマンションを受け取ったとして訴追され、今年1月に収賄罪で12年1月の実刑判決を受けた。4月から連邦警察の特別施設に収監されている。

(サンパウロ綾村悟)