米朝首脳再会談、金正恩氏が要請


「終戦宣言」自ら説得狙う

 米ホワイトハウスのサンダース報道官は10日、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から、2回目の首脳会談を要請する書簡を受け取ったと発表し、これにトランプ氏が応じる意向を示していることを明らかにした。開催に向け両国間での調整がすでに始まっているとしており、年内にも開かれる可能性がある。正恩氏が再会談を提案した背景には、朝鮮戦争の終戦宣言の採択に向けて、直接説得しようとの思惑があるとみられる。

両国間で調整、年内開催も

 サンダース氏は、トランプ氏は正恩氏の要請を受け入れ、「すでに調整に入っている」と述べたが、具体的な時期や場所に関しては言及しなかった。

トランプ米大統領(左)と金正恩朝鮮労働党委員長

トランプ米大統領(写真左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(AFP時事)

 また、正恩氏の書簡について「非常に温かく、非常に前向き」だと指摘。「対話を継続し、朝鮮半島の非核化に取り組む意思を示している」と述べた。

 さらにサンダース氏は、9日に実施された北朝鮮の軍事パレードに弾道ミサイルが登場しなかったことについて、「誠意の表れと見なしている」と評価した。トランプ氏も同日、ツイッターで「とても前向きな意思表示だ」と歓迎を示し、「金委員長、ありがとう」とエールを送っていた。

 6月に米朝両首脳が初の会談を行って以降、米国が国際機関による査察受け入れや工程表の策定など具体的な取り組みを求める一方、北朝鮮は非核化の前に朝鮮戦争の終戦宣言を要求。実務者間における交渉は行き詰まりを見せている。

 こうした中、正恩氏が会談に意欲を示す動機は、終戦宣言の採択に向け、自らトランプ氏を説得することにあるとみられる。また、トランプ氏も6月の首脳会談以来、正恩氏を評価する発信を続けており、ポンペオ国務長官に8月の訪朝を中止するよう指示した際も「金委員長に敬意を込めてよろしくと伝えたい」とツイッターに書くなど、首脳間の関係維持に努めていた。

 ただ、終戦宣言をめぐっては、北朝鮮が在韓米軍撤退を要求する口実ともなることから、米政権内でもボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)やマティス国防長官らが反対していると伝えられる。

 ボルトン氏は10日の記者会見で、米朝会談が年内に開催される可能性があるとの認識を表明。その一方で、「非核化に向けた措置を講ずべきなのは北朝鮮だ。われわれはそれを待っている」と述べ、北朝鮮を牽制(けんせい)した。

 米国世論も、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の製造を続けている兆候があるなど主要メディアの報道で厳しい目を向けており、予断を許さない状況だ。

(ワシントン山崎洋介)