米、予算増額で軍立て直しへ


 連邦予算の成立を受けてマティス米国防長官は27日の会見で、長期的な計画を作成するために必要な財政面での安定性がようやく確保できたと語り、国防予算の増額を歓迎した。国防総省は、予算不足から生じていた訓練不足など軍内部の問題の解決と、将来の戦争への備えという二つの課題に取り組む。

 マティス氏は、予算案が議会の大多数の賛成を得て通過したことについて、「2年間の議会の支持を得て、予算面でようやく今後の見通しが立てられるようになった。法案は超党派の賛成を得て承認された。これは国防が超党派の課題であることを示している」と議会の貢献をたたえた。

 トランプ大統領が23日に署名、成立した連邦予算1兆3000億㌦(約140兆円)では、戦闘機F35やオハイオ級潜水艦などの新型兵器の調達とともに、資金不足が指摘されてきた訓練や作戦行動のための予算も増額された。

 トランプ氏は予算案に署名する際、「8年間にわたって大幅に国防予算が削減され、国家の安全が損なわれてきた」と指摘、「軍の即応能力は削がれ、米国は大変な危険にさらされた」と、オバマ政権時の国防費削減を非難した。

 昨年、艦艇の衝突など大きな事故が相次いだ海軍では、作戦行動と訓練の費用が453億㌦に増額された。メンテナンスの不備、太平洋地域での作戦行動の増加が、20人近い死者を出した昨年の第7艦隊での衝突事故の一因とされている。

 ソーンベリー下院軍事委員長は、新予算が軍の装備や即応能力を立て直すための「転換点」となるとの見方を明らかにした。

(ワシントン・タイムズ特約)