米国家安全保障会議(NSC)に北朝鮮強硬派


 米ホワイトハウスが、5月にも実施されるとみられる米朝首脳会談への準備に本腰を入れ始めている。事実上長官不在の国務省をよそに、大統領直属の諮問機関、国家安全保障会議(NSC)を強化し、その第1弾として北朝鮮強硬派の元財務省高官アンソニー・ルッジェーロ氏をNSC入りさせる見込みだ。元政府高官がワシントン・タイムズに明らかにした。

米朝会談へ、準備の一環か

 ルッジェーロ氏は、北朝鮮、中国などへの制裁強化を主張してきた経済制裁の専門家で、現在はシンクタンク、民主主義防衛財団の上級研究員。

 取材に対しNSCは回答を拒否したが、3人の元政府高官が明らかにしたところによると、ルッジェーロ氏のNSC入りは、ホワイトハウス内で対北朝鮮問題に直接携わる職員を増強するために最初に取られた措置だという。

 ティラーソン国務長官が解任され、次期長官にポンペオ中央情報局(CIA)長官が指名されたものの、上院での指名承認の行方は不透明。

 一方で、駐韓国大使がいまだ決まらないなど、北朝鮮問題に対応する主要外交ポストの多くが空席のままで、会談への影響が懸念されている。

 元高官の1人は「会談のお膳立てをし、素早く行動できるチームを作る必要がある」と、ルッジェーロ氏起用は会談への準備の一環との見方を明らかにした。

 ルッジェーロ氏は、北朝鮮だけでなく中国、ロシアの銀行をも含む広範囲に及ぶ制裁の必要性を主張、非核化に対し米政府が本気であることを示すべきだと訴えてきた。

 米政府は1月、中国企業2社、北朝鮮海運企業への制裁を発表したが、これに対してルッジェーロ氏は、「本当に最大の圧力をかけるなら、中国の銀行を標的とするなど、制裁を一段、引き上げるべきだ」と一層の制裁強化を主張。そのほぼ1カ月後、トランプ大統領は、北朝鮮への密輸に関わった56の船舶や海運会社などに対する「過去最大」の制裁に踏み切った。

 元高官らは、ルッジェーロ氏起用は「北朝鮮制裁への取り組みを強化するためであり、とりわけ、中国の銀行を標的とした制裁の強化を視野に入れたもの」としたうえで「今後の北朝鮮制裁に特化した部署」が設置されるとの見方を示した。

 (ワシントン・タイムズ特約)