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新米国務長官、北への警戒緩めず会談準備を


 トランプ米大統領はティラーソン国務長官を解任し、保守強硬派のポンペオ中央情報局(CIA)長官を後任に指名した。

 5月までに行う意向の米朝首脳会談に「最大限の圧力」を維持したまま臨み、妥協しない姿勢を鮮明にした形だ。

CIAのポンペオ氏指名

 トランプ氏と国際協調を重視するティラーソン氏との間では、北朝鮮やロシア、イラン政策、気候変動対策などをめぐって意見の食い違いが表面化していた。ぎくしゃくした関係の続くティラーソン氏を切り、ポンペオ氏に米朝首脳会談に向けた水面下の準備を任せることで、トランプ氏が会談に本気だと示す狙いもあろう。

 トランプ氏は、ポンペオ氏について「重大な時期に(国務長官を)務めるのにふさわしい人物だ」と述べて期待を表明した。国際問題の解決に向けた外交交渉は、国務長官の陣頭指揮が要求される。

 対北朝鮮強硬派のポンペオ氏は昨年5月、CIA内に北朝鮮の核とミサイルの脅威に対処するために「コリア・ミッションセンター」を発足させた人物だ。同センターは北朝鮮を24時間態勢で監視し、トランプ政権に1日に2回、現状を報告しているとされる。トランプ氏が米朝首脳会談を行うと応じたのも、金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ氏との会談を望んでいるとの情報を、事前にCIAが掴(つか)んでいたからである。

 CIAが特定の国家を対象にミッションセンターをつくるのは初めてである。それだけトランプ政権が北朝鮮問題を深刻に捉えており、米国や同盟国の脅威になっている北朝鮮に断固たるアプローチを取ることを示唆していると言える。

 ティラーソン氏が国務省を去ることで、米国の外交政策が強硬になるという懸念も一部にはある。しかし、北朝鮮問題をはじめ情報に精通しており、大統領と相性がいいポンペオ氏が国務長官に就任することは、米外交の一貫性ある行動につながることとして歓迎すべきである。

 正恩氏はトランプ氏に会談を要請するに当たって「非核化への意志」を示したという。だが、これまで北朝鮮は何度も国際社会を欺いてきた。北朝鮮の核問題解決のための6カ国協議も、北朝鮮の核開発を止めることはできなかった。

 米国をはじめ国際社会の「最大限の圧力」によって、北朝鮮が対話姿勢に転じたことは確かだ。だが、ポンペオ氏は北朝鮮への警戒を決して緩めてはならない。米朝首脳会談が北朝鮮の「完全で不可逆的、検証可能な非核化」につながるよう準備や情報収集を万全にすべきだ。

外交官の士気回復を

 トランプ氏と意見が合わないことの多かったティラーソン氏だが、トランプ氏が提案した国務省と海外援助の大規模な予算削減は支持した。ティラーソン氏は、ごく少数の側近集団で国務省を運営し、外交・マネジメントのプロを排除していたことでも非難された。

 ポンペオ氏が国務長官に就任することは、低下した米外交官の士気を回復する機会でもある。新国務長官の役割は非常に重要である。