ベネズエラ、野党が大統領選ボイコット


反米左派現職が再選確実

 4月22日に大統領選が予定されている南米ベネズエラで、野党連合の「民主統一会議(MUD)」は21日、「公正な選挙が行われる状況にない」としてボイコットする方針を発表した。これにより、反米左派の現職ニコラス・マドゥロ大統領の再選が確実となった。

マドゥロ氏

ベネズエラのマドゥロ大統領=21日、カラカス(EPA=時事)

 大統領選は12月に予定されていたが、大統領派で占められている制憲議会が前倒しを進言。同国の選管に当たる全国選挙評議会は、野党連合の強い反対を受けながらも選挙日程の前倒しを決定していた。

 4月に繰り上げられた大統領選に対し、野党連合は主要リーダー2人が立候補できない状況にある。大衆意思党の党首レオポルド・ロペス氏は、政治犯として自宅軟禁状態にあるほか、正義第1党のエンリケ・カプリレス氏も、政権寄りの最高裁から出馬を禁止されている。他の有力野党指導者も弾圧や逮捕を恐れて海外に亡命しており、野党連合には大統領選を戦うために必要な指導力を持った候補者がいない状況だ。

 野党連合は大統領選のボイコットを発表する一方で、選挙日程を12月に戻すよう要請。だがマドゥロ大統領は「野党は選挙に負けるのが怖いだけだ」と批判を一蹴している。

 経済危機下のベネズエラでは、深刻な食糧不足などを受けてマドゥロ政権の支持率は低迷しており、通常であれば再選は不可能とみられてきた。こうした中、マドゥロ氏は政権維持のためになりふり構わぬ独裁的な政治手法を講じており、米州各国からも批判の声が強まっている。

(サンパウロ綾村悟)