フジモリ派分裂、次男新党設立へ


ペルー次期大統領選、姉弟対決か

 南米ペルーの首都リマで31日、フジモリ元大統領の次男で国会議員のケンジ・フジモリ氏(37)が、長女のケイコ・フジモリ議員(42)が党首を務める最大野党「フエルサ・ポプラル」(フジモリ派)からの離党を発表した。

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ケンジ・フジモリ氏と共にケイコ氏に反旗を翻した9人の国会議員(ケンジ氏のツイッターより)

 ケンジ氏は、他の9人の議員と共に離党することを明らかにしており、近日中に新会派を結成するものと見られている。また、最大野党からの議員引き抜きも視野に入れるもようだ。

 一方、ケンジ氏の離党に先立ち、フジモリ派は30日、昨年12月にクチンスキ大統領に対して行われた罷免決議の際、ケンジ氏とその他9人が党の方針に従わず、決議を棄権したことを問題視、ケンジ氏らに対して党からの追放処分を下していた。

 今回、ケンジ氏を中心とした一派が離党することにより、フジモリ派は国会過半数を超えていた勢力を失うことになる。ケンジ氏とその一派が離党する前、同党は、定数130の国会の中で70人以上の議員を抱えており、クチンスキ政権に対して内閣不信任案を提出するなど、政界で強い影響力を持っていた。ただし、今後はケンジ氏らの離党により過半数を失い、影響力は低下する。

 ケンジ氏を中心とした新会派は、政権を支持する方針を明らかにしており、フジモリ氏恩赦への国内批判が収まるなどの条件が揃(そろ)えば、ケンジ氏ら一派からの閣僚入りの可能性も出てきそうだ。

 1月24日に実施されたフジモリ元大統領の恩赦では、クチンスキ大統領とケンジ氏の間に何らかの取引があったのではないかという報道が見られた。ただし、ケンジ氏は否定している。

 すでに、ペルー国内では、ケンジ氏がフジモリ元大統領の後継者として認知されつつあり、ケンジ氏ら新会派結成の動きは、2021年の大統領選挙にも影響を与えそうだ。フジモリ元大統領は、恩赦に反対する大規模なデモが起こるほど反対派も多いが、貧困層などを中心に根強い人気を保っている。ケンジ氏が、フジモリ派を割る形でケイコ氏と並んで大統領選挙に出馬する可能性が浮上している。

(サンパウロ綾村悟)