世界日報 Web版

社会問題で保守路線、福音派の熱烈な支持続く


トランプのアメリカ 就任から1年(3)

 既存の政治システムに縛られず、過激な発言で敵対勢力を徹底的に攻撃する。こうしたトランプ米大統領の言動には、多くの批判が集まっている。だが、トランプ氏が社会問題で保守的な政策を次々と打ち出したことについて、キリスト教福音派からは一年中、称賛が続いた。

 オバマ政権時代には、伝統的な宗教道徳に基づいて同性愛や同性婚に反対するキリスト教徒が糾弾され、社会的制裁を受ける事例が相次いだ。

 ワシントン州では、同性婚のフラワーアレンジメントを断った花屋の女性が州最高裁から差別と断定され、オレゴン州でも同性婚のウエディングケーキ作りを断ったケーキ屋が州当局から13万5000㌦(約1500万円)もの巨額の罰金支払いを命じられた。「行き過ぎた宗教的差別」(カトリック情報センターのポール・グラント司祭)に、キリスト教徒らの不満は高まっていた。

 こうした中で大統領に就任したトランプ氏は、社会問題でもオバマ前大統領からの大胆な方針転換を図り、「信教の自由を守る政策を進める」と何度も強調。キリスト教保守派から大きな期待と熱烈な支持を集めた。

 福音派が最も高く評価したのは、トランプ氏が連邦最高裁判事に保守派のニール・ゴーサッチ氏を指名したことだ。

 この他に高裁判事も多くの保守派を起用したため、司法の左傾化を危惧していた人たちはもろ手を挙げて歓迎した。

 5月には宗教団体など非課税団体・組織の政治活動を一部可能にする大統領令に署名。人工妊娠中絶に対する反対姿勢も鮮明にし、中絶措置などの医療行為を行っている「全米家族計画連盟」に対する政府補助金交付の禁止を表明した。

 またクリスマス時期には「再びデパートの店員がメリークリスマスと言えるようにする」と述べ、ホワイトハウス内の装飾も伝統的なキリスト教のクリスマスを意識したものにするなど、宗教的要素を徹底して排除していたオバマ政権からの転換をアピールした。

 こうしたトランプ氏の政策が続いたことについて、福音派に大きな影響力を持つビリー・グラハム牧師の息子フランクリン・グラハム氏は「大統領選の勝利は神の手によるものだった」と何度も強調したほどだ。

 トランプ氏自身も社会問題に関する政策決定過程で、キリスト教保守派を強く意識していたことは間違いない。

 2016年大統領選で81%がトランプ氏に投票した白人の福音派は、今も同氏の「最大の支持基盤」(ワシントン・タイムズ紙)で、11月の中間選挙などでも重要な役割を担うからだ。

 「トランプ氏と福音派は持ちつ持たれつの関係にあり、絆が強くなっている」(米メディア)。そうした指摘も多くなっている。

 福音派系保守派団体「信仰と自由連合」のティム・ヘッド事務局長は「近年において、トランプ氏ほど信教の自由を保護するために多くのことを行った米大統領はいない」と強調し、今後もトランプ政権を支持するよう訴えている。

(ワシントン・岩城喜之)