トランプ政権1年、独自路線で内外に波紋


税制改革など公約実現

 トランプ米大統領が就任して、20日で1年を迎える。既存の政治に不満を持つ白人労働者層の支持を背景に、「米国第一」主義を掲げ、環太平洋連携協定(TPP)などの国際協定からの離脱やエルサレムの首都認定など独自の政策を次々と表明。議会では、レーガン政権以来約30年ぶりの税制改革を成立させるなど、内政・外交の両面でインパクトを残した。

トランプ氏

18日、ワシントンの米国防総省に到着し取材に応じるトランプ大統領(左から2人目)(UPI)

 就任式前後に反対デモが展開されるという異例の船出だったが、その後も数々の暴言で物議を醸した。ツイッターを通してメッセージを発信したり、人事発表を行うなど、型破りなスタイルで常にメディアの注目を集めた。

 トランプ氏は、就任直後にTPP離脱を宣言。その後も温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を表明するなど、選挙公約を実現させた。エルサレムをイスラエルの首都と認定し、大使館の移転を決定するなど、国際的に論議を呼び起こす独自路線も目立った。しかし、不法移民を防ぐために築くとしたメキシコ国境の壁は実現に至っていない。

 外交・安全保障面では、「力による平和」を唱え、軍事力を背景とした安保戦略を追求してきた。化学兵器を使用したシリアのアサド政権に対しては4月に軍事行動に踏み切った。

 核・ミサイル実験を強行した北朝鮮に強い姿勢で臨み、「最大限の圧力」を掲げ、国連による北朝鮮への経済制裁決議を主導した。

 その一方で、日本など同盟国との結束を強化。安倍晋三首相と個人的な信頼関係を土台に「蜜月関係」を築いた。トランプ氏は11月に初来日し、両首脳は、中国を念頭にインド太平洋戦略で一致した。

 経済面では、国内の失業率が17年ぶりの低水準となる4・1%まで低下するなど、雇用の改善も見られた。一昨年11月にトランプ氏の当選が決まってからこれまで、ダウ工業株30種平均は3割以上上昇。17日には終値で史上初めて2万6000㌦を超えた。

 議会では、トランプ氏自ら積極的に働き掛け、公約に掲げた法人税減税を柱とする税制改革を昨年末に成立させた。一方、昨年12月のアラバマ州上院補選で共和党候補が敗れたことで、上院勢力は共和党51、民主党系会派49となり、議会運営はより不安定になった。11月の中間選挙では、両院で共和党が多数を占める安定政権を維持できるかが焦点になる。

(ワシントン山崎洋介)