中露は「競争勢力」


米大統領、国家安保戦略を公表

 トランプ米大統領は18日、外交・安全保障の指針となる「国家安全保障戦略」を公表した。トランプ氏は公表時の演説で、中国とロシアを米国の利益や価値観に挑戦する「競争勢力」だと断言。米国は「力による平和」を中心にあらゆる手段を使って対抗する必要があると訴えた。

 安保戦略の公表はトランプ政権で初めてで、「米軍再建の推進に焦点を当てた」(ワシントン・タイムズ紙)内容になった。具体的には「国土防衛」「米国の繁栄促進」「力による平和」「米国の影響力強化」の四つが柱に据えられた。

 同戦略は中国とロシアを国際秩序の現状変更を目指す「修正主義勢力」と強く批判。特にロシアについては、大国としての地位を回復していると指摘し、米国と同盟国を引き離そうとする「危険なライバル」だと主張した。またロシアの核兵器を「米国に対する最も重大な脅威」だと強調。サイバー攻撃や国営メディアを使って「各国の内政に介入している」ことも批判した。

 中国については、アジアで米国の影響力排除を狙っているとし、南シナ海における人工島造成や軍事基地化を「周辺国の主権を脅かし、地域の安定を損なっている」と非難した。

 北朝鮮に関しては「隣人を脅かし、大量破壊兵器を追求する独裁者」と表現。イランと共に「ならず者国家」と断じ、同盟国と連携して立ち向かう方針を示した。

 また国土防衛ではミサイル防衛(MD)の強化を図るとともに、ミサイル発射前に無力化する方策を検討することも示した。具体的にはサイバー攻撃でミサイル開発を妨害する計画を指したものとみられる。

 トランプ氏は演説で「自国の繁栄を守れない国は海外の利益も守ることができない」とし、「米国第一」を改めて訴えた。また過去の政権が外交・安保政策で失敗したために北朝鮮の核開発が進展し、過激派組織「イスラム国」(IS)が台頭することになったと批判した。その上で、トランプ政権になってから北朝鮮への圧力が「最も厳しいものになった」と述べ、「(北朝鮮の)非核化を達成するために必要な措置を全て取る」と強調した。

(ワシントン岩城喜之)