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エルサレム首都認定、米は和平実現へ一層の関与を


 エルサレムをイスラエルの首都と認めるトランプ米大統領の宣言は、イスラエルとパレスチナの和平に貢献するのか。パレスチナ、中東諸国、欧州は強く反発、イスラエルは「歴史的な日」と歓迎した。

 大使館移転も認める

 宣言は、従来の米国の対イスラエル・パレスチナ政策の大きな転換を意味する。また首都承認に合わせて、現在テルアビブにある大使館をエルサレムに移転することを認めた。

 エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地がひしめく「聖都」だ。歴史的に宗教間のあつれきにさらされてきた。イスラエルは1967年の第3次中東戦争で東エルサレムを占領、東西エルサレムを「不可分の永遠の首都」としている。一方のパレスチナ自治政府は、エルサレムを将来の独立国家の首都とすることを求めている。聖地をめぐる戦いは、両者一歩も譲らず、中東和平交渉でも最大の難関の一つとなってきた。

 トランプ氏は、20年以上にわたる和平交渉で合意に至らなかったとして「同じことをしていて、違う結果、いい結果が出ると考えるのはばかげている」と述べた。現状の大転換を和平実現への弾みにしようとしているようだ。

 イスラエルのネタニヤフ首相は「宣言は平和への重要な一歩」であり、「エルサレムをイスラエルの首都にしない平和はない」と訴えた。その上で、他国も米国に追随するよう求めた。

 一方のパレスチナ自治政府は「(イスラエルとパレスチナの)2国家共存を破壊する」「和平交渉に関与する資格を米国は失った」(和平交渉責任者サエブ・アリカット氏)と強く反発、拒否の姿勢を明確にした。

 イスラム根本主義組織ハマスからは、イスラエルに対するインティファーダ(民衆蜂起)を訴える声も上がり、すでに自治区内では大規模なデモが行われている。繰り返されてきた蜂起の再発で、多くの死傷者を出すことは避けなければならない。

 また、実現しかけているパレスチナ自治政府の主流派ファタハとハマスの和解への影響も懸念される。ハマスがイスラエルへの武力攻撃を開始すれば、和解は破綻する。

 外に目を向けると、イラク、シリアでの過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦が終結に向かう中、中東の目下の最大の懸案事項はイランの影響力拡大だ。サウジアラビアを中心にアラブ諸国とイスラエルとの連携に期待がかかる中、首都承認による影響も懸念される。

 シリアで影響力を拡大するロシアの動きも気になる。自治政府が米国に背を向け、中東に基盤が欲しいロシアに擦り寄ることもあり得よう。

 米国では、イスラエルへの支持が強いキリスト教右派が宣言を歓迎している。トランプ氏の強い支持基盤であり、宣言は選挙でのユダヤ、キリスト教右派の支持獲得という側面もある。

 トランプ政権の責務重い

 トランプ氏は現状の打開を訴える。だが首都承認が和平へと向かわせる起爆剤となるには、米国の積極関与が欠かせない。トランプ政権はそのための重い責務を負った。