ティラーソン国務長官を近く更迭か


安保チームの刷新も検討
米メディア報道、ホワイトハウスは否定

 ニューヨーク・タイムズ紙など複数の米メディアは30日、トランプ政権がティラーソン国務長官を数週間以内に更迭し、後任にポンペオ中央情報局(CIA)長官を充てる人事を検討していると報じた。いずれも政府高官の話として伝えた。外交の要である国務長官が交代すれば、核・ミサイル問題を抱える北朝鮮への対応や中東政策などに影響を及ぼす可能性がある。

ティラーソン氏(左)とポンペオ氏

ティラーソン米国務長官(左)とポンペオ米中央情報局(CIA)長官(EPA=時事)

 米メディアによると、ティラーソン氏の更迭と共に国家安全保障チームの大幅な人事刷新も検討されている。ポンペオ氏の後任には、外交政策でトランプ大統領に近く、イラン核合意について否定的な姿勢を示しているトム・コットン上院議員の起用が取り沙汰されている。

 トランプ氏は30日、記者団からティラーソン氏の進退について問われたが、肯定も否定もしなかった。一方、国務省のナウアート報道官はケリー大統領首席補佐官が「(報道は)正しくない」と否定したと語った。ホワイトハウスのサンダース大統領報道官も「現時点で人事の変更はない。ティラーソン氏は引き続き国務長官を務める」と述べ、報道を否定した。

 ただ、トランプ氏とティラーソン氏の確執は以前から伝えられており、国務長官が交代するとの見方は根強い。

 10月にはイラン核合意やカタールとサウジアラビアの国交断絶問題への対応をめぐってティラーソン氏がトランプ氏を「能無し」と呼んだと米メディアが報じた。

 またティラーソン氏が北朝鮮との対話を模索していると発言したことについて、トランプ氏が「時間の無駄」と批判することもあった。このため、ティラーソン氏の1月退任論はこれまでにも幾度となく伝えられていた。

(ワシントン岩城喜之)