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米議会報告、中国による影響力排除を懸念


 米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は中国の動向に関する年次報告書を公表した。

 報告書は、中国がシルクロード経済圏構想「一帯一路」などを通じて周辺諸国の取り込みを図り、アジアでの米国の影響力を低下させようとしていると警告している。

 共産党大会で「強国路線」

 報告書は、習近平国家主席が提唱した一帯一路は豊富な資金力を背景に、インフラ整備支援で60カ国以上を勢力圏に収めることが目的と指摘した。背景には、世界各地に戦略的な足掛かりをつくり、安全保障面での関与も強めるという狙いがあると分析している。

 中国が米国の指導的役割をさらに弱体化させようとしているとの警鐘である。一帯一路は中国覇権確立への道程であるとの指摘を重視する必要がある。

 報告書はまた、中国が今後15年間で空母建造を進めて6隻を保有する可能性があり、潜水艦は現在の66隻態勢から2020年には69~78隻に増強され、インド洋などにも活動領域を広げるとしている。

 このような中国の軍備拡張が東アジアを中心に展開する米国との軍事的均衡を崩しつつあると現状を分析した。先月開催された共産党大会では、習氏による南シナ海の軍事拠点化を評価した上で「強国路線」を鮮明にしている。覇権拡大の動きが懸念される。

 中国は南シナ海で実効支配を強め、中国の主権主張を否定した仲裁裁判所の判断を事実上、無視している。中国の行動が近隣諸国にとって威圧的で、脅威増大や秩序破壊につながる恐れがあるとすれば、早急にこれを抑止しなければならない。

 こうした中、報告書は議会が国防費の増加を認めるべきだと提言している。アジア太平洋地域における国益を守るためとの理由だ。中国の動きを踏まえれば、米国の国防費増加は当然の成り行きだと言える。

 習氏は台湾について「独立を阻止する意志と能力がある」と絶えず威嚇姿勢を示している。報告書は、米政府が台湾をオブザーバーとして環太平洋合同演習(リムパック)や空戦軍事演習の「レッドフラッグ」、サイバー攻撃に対する国際演習「サイバーストーム」など米主導の軍事演習に招待すべきだと提言した。米国は台湾の防衛力向上を後押しすべきだ。

 この報告書は、米国と中国の経済関係、安全保障関係の特徴などを理解する上で有用であり、アジアにおける両国の力関係がどのように推移するかを考える上でも役立つとされてきた。中国政府が背後にいる米企業買収が増えていることは「経済・国家安全保障に打撃となり得る」と訴え、政権・議会に対応を促している。

 アジアへの具体的関与を

 報告書は習氏について「歴代指導者の中で最も中国の存在感拡大を図っている」と指摘。中国は自国の国家的野心を達成するために米軍の排除に踏み切る恐れがあると警告した。

 トランプ米大統領は初の歴訪でアジアへの関与を改めて表明した。具体的な行動で示すことが急がれる。