トランプ米大統領アジア歴訪、対中戦略の試金石に


北朝鮮問題は包囲網強化へ

 トランプ米大統領は5~14日に就任後初めてアジア5カ国を訪問する。核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に対しては日米を中心とした包囲網を強化する方針で、各国に協力を求める考えだ。

トランプ氏

トランプ米大統領(EPA=時事)

 トランプ氏は最初に日本を訪れ、安倍晋三首相と会談を行う。両首脳は2月に会談した際、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関して緊急で共同記者会見を開くほどの信頼関係を築いており、今回も北朝鮮問題への対応などで強固な結束を演出するとみられる。また首脳会談では「日米同盟の重要性や安全保障での協力を確認する」(米政府高官)予定だ。

 一方、強引な海洋進出を続ける中国への対応は、今後のアジア戦略を占う試金石となりそうだ。

 トランプ氏は昨年の大統領選後に対中強硬姿勢を示していたが、北朝鮮問題で中国の協力を得るために軟化した経緯がある。その後も中国に対して厳しい考えを示したかと思えば、習近平国家主席を持ち上げる発言を行うなど対中政策に一貫性は見られない。

 米政府高官は、北朝鮮への対応や貿易不均衡是正が米中首脳会談の主要議題になるとの見通しを示したが、覇権主義的な動きを隠そうとしない中国に対して、どこまで踏み込めるかがポイントになる。

 トランプ氏は5月の中東訪問でイスラム諸国と連帯してテロに立ち向かう「トランプ・ドクトリン」を示したことが高く評価された。アジア歴訪でも中国に対抗して関係国と連携する新たな戦略を打ち出すか注目される。

 ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏のアジア歴訪について「米政権のアジアに対する取り組みを明確にし、同盟国との関係をより強固にする大きな機会だ」とし、それができるかどうかが成功のカギだとの見方を示した。

 ただ、アジアの中には「米国第一」主義を掲げるトランプ氏との距離感を測りかねている国も多い。軍事や経済面で影響力を増す中国に傾く国も出ており、安保上の疑念をいかに払しょくできるかが重要になる。

(ワシントン岩城喜之)