日韓歴訪で中朝を牽制 米国防長官、アジア同盟重視


マティス米国防長官は2月上旬に日韓両国を訪問する方針を固めた。マティス氏の初外遊となるアジア訪問は、太平洋アジア地域の同盟を重視する姿勢を示し、中国の南シナ海進出や北朝鮮の核・ミサイル開発を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。トランプ政権として沖縄県・尖閣諸島の防衛義務を明確にするかどうかも焦点となる。

 日韓訪問は2月2~4日の日程で調整しており、稲田朋美防衛相、韓民求・韓国国防相と会談。安倍晋三首相も表敬訪問する予定だ。

 トランプ政権の閣僚が就任から2週間で日韓を訪問するのは、中国の覇権主義を隠そうとしない姿勢や、南シナ海の軍事拠点化に対して危機感を抱いているためだ。スパイサー米大統領報道官は23日の記者会見で、南シナ海について「ある国が国際水域を支配する行為を阻止する」と述べ、中国の海洋進出を強く批判。マティス氏も上院軍事委員会の指名承認公聴会で「アジア太平洋地域の軍事的な体制を維持すべきだ」と表明していた。

 トランプ大統領周辺には、アジア太平洋地域における前政権の軍事プレゼンスが弱かったことから中国の海洋進出を許したとの考えが強くある。国防長官が初外遊として日韓両国を選んだのも、そうしたトランプ政権の意向を反映したものといえる。これまでマティス氏は「同盟国を支えることで米国は強くなる。緊密に連携する必要がある」と述べるなど、同盟重視の姿勢を示してきた。日本側としても同盟強化で一致したいところだ。

 ただ、トランプ氏は大統領選中に在日米軍駐留経費の全額負担を求め、応じなければ米軍撤退もあると示唆していた。マティス氏は大統領の意向を踏まえ、駐留経費の負担増を求める可能性もある。

 一方、米韓国防相会談では最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備時期や核・ミサイル開発を進める北朝鮮の動向について話し合う見込みだ。会談は、トランプ政権が北朝鮮にどのように向き合うかの試金石にもなる。

(ワシントン岩城喜之)