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米の左傾化、変わらぬ野心


2016米大統領選

民主党大会、クリントン氏指名受諾演説

 米民主党全国大会でヒラリー・クリントン前国務長官が行った大統領候補指名受諾演説は、リベラル派が掲げる典型的主張のオンパレードだった。若い頃からクリントン氏が抱き続ける米社会の左傾化という野心は全く衰えていない。

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28日、指名受諾演説に臨むヒラリー・クリントン前国務長官=岩城喜之撮影

 世代も生い立ちも大きく異なるオバマ大統領とクリントン氏には、意外にも政治理念の根幹に関わる共通点がある。シカゴの伝説的な極左活動家、故ソウル・アリンスキー氏の思想に傾倒していたことだ。

 「極左のプラグマチスト」と称されるアリンスキー氏は、米社会を時間をかけて漸進的に社会主義化していく理論を体系化した。そんな過激な思想を掲げるアリンスキー氏をクリントン氏は学生時代、卒論テーマにするほど心酔した。

 クリントン氏が今現在、アリンスキー氏の思想をどの程度信奉しているかは分からない。だが、指名受諾演説では、政府の役割を肥大化させる「大きな政府」路線を志向し、ウォール街(金融街)や大企業、富裕層を敵対的に捉える姿勢を明確に示し、典型的なリベラル派政治家であることを改めて印象付けた。

 外交では中道寄りと言われるクリントン氏だが、内政では左派に近いと言っていい。クリントン氏はバーニー・サンダース上院議員が主張する左派色の濃い政策を多く受け入れたが、クリントン氏にとっては大きな違和感はなかったに違いない。

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 孤立主義的な外交政策を掲げ、何をするか予想がつかない共和党のドナルド・トランプ氏と違い、クリントン氏が大統領になれば、米外交の基本路線は維持され、日米同盟の安定も保たれる可能性が高い。実際、受諾演説では同盟国との関係を重視する方針が示された。

 だが、アリンスキー氏の思想に傾倒したリベラル派政治家が2代続けてホワイトハウスの主となり、米国を一段と左傾化させることは、世界の超大国としての地位を低下させ、長期的な国際秩序に否定的影響を及ぼす可能性がある。

(フィラデルフィア早川俊行)