オバマ大統領「クリントン氏にバトン」


2016米大統領選

民主党大会、「リベラル革命」の継続託す

 米民主党全国大会で演説したオバマ大統領が、同党の大統領候補に正式指名されたヒラリー・クリントン前国務長官への支援を強く呼び掛けたのは、民主党政権の継続を残された最も重要な仕事と見ているためだ。クリントン氏を後継者にすることで、自らが推し進めた「リベラル革命」の永続化を狙っている。

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7日、米民主党大会で演説するオバマ大統領=岩城喜之撮影

 「クリントン氏以上に大統領にふさわしい人物はいないと自信を持って言える」。オバマ氏は演説で最大級の賛辞を用いながら、クリントン氏の資質や能力を評価。「私は(クリントン氏に)バトンを渡す用意ができている」とも述べ、クリントン氏を何としても後継者にしたい意向を強調した。

 万一、バトンを渡す相手が共和党のドナルド・トランプ氏になった場合、医療保険制度改革(オバマケア)や地球温暖化対策、イラン核合意などオバマ氏がレガシー(遺産)と位置付ける政策が次々に覆される可能性がある。

 それだけに、オバマ氏はトランプ氏率いる共和党を「喫緊の課題に対する真剣な解決策がなく、憤りや非難、怒り、憎しみを煽(あお)っているだけだ」と酷評し、同党に政権を明け渡す危険性を訴えた。

 政治専門紙ポリティコによると、オバマ氏は昨年、側近たちとの電話会議で、自らが成し遂げた業績を1980年代の「レーガン革命」に匹敵すると自賛した上で、「レーガン革命はブッシュ(父)大統領を必要とした」と語ったという。

 レーガン大統領の「保守革命」は共和党政権が続いたことでその業績が守られたように、オバマ氏の「リベラル革命」にも民主党政権の継続が欠かせないとの認識を示したものだ。

 ワシントン・ポスト紙によると、ホワイトハウススタッフがクリントン陣営と週に数回会合を持っているほか、2008年大統領選で選対本部長を務めたオバマ氏の側近デービッド・プラフ氏も数カ月前からクリントン陣営に助言を行っているという。オバマ氏がクリントン氏を後継者にすべく全面的にサポートしていることがうかがえる。

(フィラデルフィア早川俊行)