サウジ皇太子、UAE訪問


記者殺害事件後初の外遊開始

 サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏殺害事件への関与を疑われている同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子は22日、同事件後初の外遊を開始し、最初の訪問国のアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを訪れ、ムハンマド・ビン・ザイド・ナハヤン・アブダビUAE皇太子と会談した。

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2日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、言葉を交わすサウジアラビアのムハンマド皇太子(左)とムハンマド・アブダビ首長国皇太子(AFP時事)

 国営サウジ通信(SPA)がサウジ王室の発表として報じたところによると、ムハンマド皇太子の外遊は、世界や地域との関係強化を望む父のサルマン国王の指示によるもので、多数のアラブの友好国を歴訪するという。同皇太子が国際的な批判を浴びる中、国王による同皇太子への強い信頼と、同皇太子の国内での盤石な権力基盤を誇示する狙いがあるものとみられる。

 なお、同皇太子は、来週、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催予定の主要20カ国・地域(G20)首脳会議にも出席する。チュニジアのビジネス・ニュース紙は、同皇太子が27日にチュニジアを訪問すると報じた。

 サウジの緊密な同盟国であるUAEは、イエメン内戦で、イランが支援するイスラム教シーア派系の反政府武装組織「フーシ派」と戦うサウジ主導の連合軍にも参加しており、今回のサウジ皇太子の訪問に対し、「緊密な協力と相互の関係を誇りに思う」として、サウジへの支持を表明した。

 両皇太子は、地域的・国際的な開発や、中東地域が直面する困難や脅威について話し合った、とされる。

 また、トルコの大統領府報道官は、G20首脳会議でムハンマド皇太子のカショギ氏殺害事件への関与をほのめかし続けてきたエルドアン大統領が、ムハンマド皇太子と会談する可能性があると述べており、双方の直接会談が実現するかどうか注目される。

 一方、トランプ米大統領は20日、ムハンマド皇太子がカショギ氏殺害計画を把握していたとしても、米国はサウジの「堅実なパートナー」であり続けるとの立場を表明している。

(カイロ鈴木眞吉)