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維新後の日本の教育評価


カイロ大で明治150年シンポ

 エジプトのカイロ大学文学部内に2017年9月に創設された「日本研究センター」で22~23日、「明治以降の日本の経験から学ぶ―明治150周年を迎えて」をテーマとする国際シンポジウムを開催した。
(カイロ・鈴木眞吉)

植民地エジプト、変革できず

 同研究センターは、エジプトに未来の発展を促すことを目的に創設されており、エジプトと同時期に近代化への歩みを始めた日本が、急速な経済成長を遂げて世界第2位の経済大国に上り詰めたことと比較し、エジプトは今なお発展途上国に甘んじている原因を探求している。シンポジウムの内容もその趣旨に沿うものだった。

中林真幸氏

基調講演する中林真幸氏

 「明治維新150年 伝統と革新と成長」と題して基調講演をした中林真幸東京大学社会科学研究所教授は、まず「所有権の保護」が日本の経済成長を後押しし、投資の意欲を決定的に高めたと強調した。また、①明治維新によって自由貿易が可能になった②1872年の学制改革により初等教育の義務化が始まり、1900年には100%の就学率が達成された③外国からの技術の移転が順調に進んだ④1889年の大日本帝国憲法により権力の分散が進んだ―などを成長の要因に挙げた。

 さらに、1950年から60年代の高度成長は、農村部に滞留していた優良な労働力が、大都市に移動したことが大きな要因だったと指摘。70~80年代は、日本独自の研究開発による生産性の向上があり、90年代は日本の技術・貿易が成長を後押ししたと説明した。

モハメド・カマル・カイロ大学教授

研究発表するモハメド・カマル・カイロ大学教授

 一方、90~2010年代は、人口減少による労働参加率の減少や、国際展開のために大企業の海外移転が進み、ひ弱な成長が問題化しているなど、日本の課題を紹介した。

 カイロ大学のモハメド・カマル教授は、エジプトのスエズ運河見学に明治政府の視察団が訪れるなど、当時のエジプトは日本よりも開発が進んでいたが、英国の植民地支配の下で、吸い取られるだけ吸い取られる状況を変革し得なかったと反省。「日本のように、自分の伝統を守りつつ欧米から貪欲に学ぶその姿勢がエジプトにも必要だった」と訴えた。

 エジプトが今、日本に注目しているのは、カマル氏が指摘した「学ぶ姿勢」の意味する明治以降の日本の教育だ。

 シシ政権は現在、日本式教育の導入を開始しており、今年後半から清掃など生活指導を含む日本式教育を実践する小中校を100校開校する。シシ大統領は日本人を「歩くコーラン」と賞賛、「コーランは知らないけれど、コーランの教えの内容を実践している」と高く評価している。