イエメン、サレハ前大統領を殺害


フーシ派武装勢力が宣言

 イエメンの首都サヌアなど同国北部主要都市を実効支配中のイスラム教シーア派反政府武装組織フーシ派系ラジオは4日、同派武装勢力が、サレハ前大統領(75)を殺害したと報じた。エジプトのCBCテレビも同日、サレハ氏とその警護員らが複数殺害されたと報じ、現場の映像を繰り返し放映した。

 フーシ派武装勢力はサヌアにあるサレハ氏自宅を2日以上にわたって包囲、4日に自宅を爆破。出身地のサンハンへ脱出しようとしたサレハ氏一行を同市南部の検問所で拘束し殺害した。

 フーシ派の指導者アブドルマリク・フーシ氏は同日夜、テレビで演説し、「裏切り者の陰謀に勝利した」と宣言した。

 同国では先週、イランが支援するフーシ派と、3年にわたり同派と同盟関係にあったサレハ氏支持派が衝突、首都全域と国際空港で約60人が死亡していた。

 サレハ氏が2日、サウジ主導の連合軍と和平交渉を行う用意があると表明したことから、対立が表面化したものとみられている。

 サウジ主導の連合軍側は、和平交渉の申し出を歓迎。フーシ派をサヌアから放逐し、イランの影響力拡大を阻止すると意気込みを見せていただけに、サレハ氏の殺害は連合軍側にとっては大きな痛手。イランの影響力が増大する可能性がある。

(カイロ鈴木眞吉)