クルド自治政府議長、テレビ演説で辞任表明


 イラク北部のクルド自治政府のバルザニ議長は29日、テレビ演説し、「いかなる条件でも議長任期を延長しない」と述べ、11月1日に辞任する意向を表明した。演説に先立ち、自治区議会宛の書簡で辞意を示し、議会もこれを承認していた。

バルザニ氏

バルザニ議長(EPA=時事)

 バルザニ氏は演説で、9月実施のイラクからの独立を問う住民投票で、賛成票が9割を超えたことについて「歴史を消すことはできない」と主張、イラク政府が選挙結果の撤回を求めていることに対し、拒否する姿勢を明確にした。

 また自身は今後、「独立に向けて立ち向かう人々を支える」と述べ、治安部隊「ペシュメルガ」に留まり、引き続き独立運動を支えていく姿勢を強調した。

 今回の辞任は、住民投票後、期待した国際的な支持は得られず、逆に、実効支配中の油田都市キルクークなどを次々に失ったことに対し責任を取った形だ。

 バルザニ氏は、2005年に議長に選出され、09年に再選されたが、任期満了となる13年以降は、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)との戦闘などを理由に議長職に留まっていた。

(カイロ鈴木眞吉)