世界日報 Web版

きょう米朝首脳会談、交渉失敗の歴史断てるか


容易でない「完全非核化」

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が12日、シンガポールで開催される。過去の交渉では、北朝鮮に非核化を約束させても、結局は見返りを「持ち逃げ」されただけで核開発を止められなかった。「交渉の達人」を自任するトランプ氏が交渉失敗の歴史を断ち切れるか、全世界の注目が集まる。

600

 会談は午前9時(日本時間同10時)から、セントーサ島の高級ホテル「カペラホテル」で開かれる。米メディアによると、通訳以外を除いた一対一形式で始まり、側近を加えた拡大会合を行う予定。両首脳が個人的な信頼関係を築いた後、焦点である北朝鮮の非核化や朝鮮戦争(1950~53年)の終結をめぐり詳細を話し合う見通しだ。

 トランプ氏は11日にシンガポールのリー・シェンロン首相と会談した際、米朝会談について「非常に良い結果が出ると思う」と明言。ポンペオ国務長官も同日の記者会見で「真の成功に向けた好機になる」と楽観的な見通しを示した。

 だが、現実には、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」につながる成果を生み出すのは容易でない。米戦略国際問題研究所(CSIS)のスー・ミ・テリー韓国部長は「完全かつ検証可能で不可逆的な核保有国になることを目指してきた北朝鮮が、核をすべて放棄するのは想像できない」と指摘する。

 テリー氏は、今回の会談で北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)数発の引き渡しなどに応じる可能性があると指摘。北朝鮮の真剣さを示す大掛かりなパフォーマンスを通じ、米国を長期交渉に引きずり込み、トランプ政権が終わるのを待つ、とのシナリオを描いている可能性があるという。

 このため、専門家からは「シンガポールで歴史はつくられない。繰り返される」(ダニエル・スナイダー米スタンフォード大学客員研究員)と、米国が再び北朝鮮の罠(わな)にはまることを危惧する見方も上がる。

 ただ、トランプ政権も当然、米国を欺く北朝鮮の手口を理解しており、会談では非核化の重要なステップである検証などをめぐり熾烈(しれつ)な駆け引きが繰り広げられるとみられる。

 ホワイトハウスは11日、声明を発表し、トランプ大統領は会談後、記者会見を行い、現地時間の12日午後8時ごろ(日本時間午後9時ごろ)にシンガポール離れ、帰国の途に就く。

(シンガポール早川俊行)