文政府の根源に排他的な“古い民族主義”


韓国紙セゲイルボ

自由主義的な愛国主義で克服を

 2018年の韓半島は歴史的転換点だった。北朝鮮が南北、朝米、朝中首脳会談を経て、現実的に核保有国家となり、南北は平和時代でなく第2の体制競争時代に入った。この過程で文在寅政府は「北朝鮮の非核化論」と「韓半島非核化論」に対する理解の混乱と民族主義的な情緒を刺激する広報だけに専念していた。

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朝鮮労働党中央委員会本部庁舎で会談前に握手を交わす韓国の文在寅大統領(左)と北朝鮮の金正恩労働党委員長=2018年9月18日、平壌(平壌写真共同取材団)

 文政府の対北政策の根源には“古い民族主義”がある。これは20世紀の民族解放運動の観点に立ち、血統中心の排他性、個人の自由と人権など普遍的価値に対する理解が不足した民主主義のことだ。

 韓国では、北の主体思想と民族解放統一戦線理論に基づいた対南戦略、そして80年代運動圏(北に影響された学生運動)世代の反米・親北情緒とこれらに迎合した一部知識人の脱韓米同盟、親北、親中的認識が結合して、文在寅政府の古い民族主義に基づいた対北朝鮮政策がますます拡大している。

 現在の難局を克服するためにはこの古い民族主義を克服できる自由民主主義に基づいた新民族主義、自由主義的愛国主義を確立することが重要だ。

 21世紀の民族主義は進化が必要だ。新民族主義は閉鎖的、民族解放論的な視点ではなく、自由民主主義と市場経済という価値を基盤とした文化的アイデンティティーを中心とした包容的な民族主義に進化しなければならない。

 また、他の共同体に対する排他的・攻撃的な要素を克服して、共同体のアイデンティティーと共同体のための義務を中心とした愛国主義と統合的に収斂(しゅうれん)されるべきであり、人類的な課題に対して世界の自由民主主義勢力と連帯する観点に立たなければならない。これは自由主義的な民族主義、もしくは自由主義的な愛国主義ということができる。

 現在、文政府は北朝鮮の“親米非中”化と改革開放を意味する“ベトナムモデル”を通り越して、韓半島全体の“ベトナム式統一モデル”化を手伝っているように見える。北朝鮮のベトナムモデル化は歴史の進歩だが、韓半島全体のベトナム式統一モデル化は歴史の退歩だ。

 今後、韓半島の運命は民族解放民族主義に基づいた北朝鮮主導の“ベトナム式統一モデル”になるのか、自由主義的な愛国主義に基づいた韓国主導の“ドイツ式統一モデル”に進むのか、その岐路に立っていると言える。

(具海祐(クヘウ)未来戦略研究院理事長、12月28日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。