国号“朝鮮”と“韓”が示す歴史継承の意識


韓国紙セゲイルボ

 韓国・朝鮮の歴史では新しい王朝が誕生して国号を定める時、過去の国号を積極的に反映させてきた。新羅とともに後三国時代を開いた後百済と後高句麗が代表的だ。

 1392年高麗を滅亡させた李氏朝鮮は新しい国号を“朝鮮”とした。これには古朝鮮の歴史継承の意識が反映されている点が興味深い。“檀君朝鮮”に現れる天の子孫という意識と、檀君朝鮮の後に登場する箕子朝鮮に対する自負心も表れている。箕子は殷が亡び周が建国される時、半島に来て箕子朝鮮を建て、中国の先進文化を伝えた人物と認識されている。歴史の始まりから中国の文化と道徳を伝授されたという点を強調したのだ。すなわち“朝鮮”という国号は檀君朝鮮に含まれた天孫意識と箕子朝鮮に現れる道徳的・文化的自負心を表したとみることができる。

 1897年高宗が国号を“大韓帝国”とした。これには“韓”継承の意識が現れている。箕子の後裔が南に降りてきて建てた国が三韓で、朝鮮後期には三韓がわれわれの歴史で正統になるとみる“三韓正統論”が台頭した。

 1910年大韓帝国が強制的な韓日併合で歴史の中に消えた後、1919年の上海には臨時政府が樹立されたが、その国号が“大韓民国”になったことはやはり“韓”を継承しつつも、国民が主人になる共和国になったので“大韓民国”としたのだ。1948年には大韓民国政府が樹立され、大韓民国は現在の国号としても使われている。

 ところで北朝鮮の国号は“朝鮮民主主義人民共和国”だ。“朝鮮”が入っていることを見ると、古代に箕子朝鮮が北側にあり、南側に三韓の国が存続したことを思い起こさせる。国号に現れる歴史継承の意識を見詰めながら、われわれの国号の変遷史を理解してもらいたい。

(申炳周(シンビョンジュ)建国大教授・歴史学、12月1日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。