公共機関の地方移転非婚少子化へ配慮を


韓国紙セゲイルボ

 公企業に務めるある知人は会社が2015年に地方に移転する際、退職するかどうか悩んだ。未婚の彼は恋愛と結婚の心配が先だったが切実に望んだ職場だったので、「なんとかなるだろう」と生活の場を移した。周辺の勧めで地域の“出会いの場”にも参加したが効果もなく、30代中盤になっても恋愛と結婚の宿題は解決されていない。

 公企業・公共機関の2次地方移転問題が水面上に上がってきた。共に民主党の李海贊代表が就任後に言及したことで、移転推進に弾みがついた。地域均衡発展の側面からすれば、公共機関の地方移転には反対しない。しかし、対策もなく推進すれば、非婚と少子化を加速化するかもしれない。

 李代表を含む民主党議員は公共機関の地方移転がなぜ非婚と少子化を深化させるのかよく理解できていないようだ。李代表は最近、記者懇談会で「職場が移れば若い人々は皆行く。少子化とは関連がない」と言い切った。地方での結婚がどれだけ難しいかを知らないのだ。恋愛をして結婚するカップルが増えなければ、赤ん坊も生まれない。

 公共機関地方移転は週末(のみ会う)カップル、週末婚の夫婦を量産する。若者が縁故もない地方へ行けばパートナー探しは難しくなる。また恋愛中のカップルの片方が突然地方に移されれば、関係が持続できるかどうか安心できない。

 結婚をしても週末婚になるほかはない。週末婚は“ワンオペ育児”になる可能性が大きく、2番目、3番目の子供を持とうという意欲も湧かないだろう。

 公共機関地方移転により地方の人材に機会が開かれたことは明らかだ。だが現在の勤務者にも細心な配慮が必要だ。国家が強制的に職場を移してしまうのは、該当する個人にとってはあまりにも暴力的な方式だ。

 誰かの人生が完全に変わることになる政策はもう少し慎重に、副作用は最小化すべきだ。

(崔ヒョンチャン政治部記者、9月29日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。