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北は“戦略的決断”下したか


韓国紙セゲイルボ

非核化の実践から立証せよ

 シンガポールでの米朝首脳会談で、金正恩朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ米大統領が出した共同声明は403語の英語で構成されている。朝米双方は共同声明をまとめるために、ポンペオ国務長官の2度にわたる金委員長との面談、金英哲党副委員長兼統一戦線部長のトランプ大統領との面談、金・ポンペオ間の1泊2日にかけた高官級会談と共に、崔善姫外務次官とソン・キム駐フィリピン米国大使との5月27日~6月11日のマラソン交渉などを行ってきた。

 記者は共同声明が公開される瞬間を待っていた。アドレナリン過分泌の震えの中で共同声明を見た時、信じられなかった。繰り返し読んでみても白紙同然だった。最大関心事であった非核化の部分は「完全な非核化のために努力する」とされていた。ポンペオ長官が首脳会談前日まで“マジノ線”として提示していた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)はどこへ行ったのか。

 その上完全な非核化の後に「努力する」という言葉はなぜ付いたのか全く理解ができなかった。努力したができなければ仕方ない現実を互いに了解しようという意味で付けた言い訳か。

 しかし、一部米国側の人々は記者に「木を見ずに森を見よ」と言った。共同声明の字句に拘らず、声明に含まれた精神とビジョンを見ろとのことだ。この声明は「新しい朝米関係樹立」を知らせることに焦点が合わされているということだ。

 韓国と米国政府当局者らは特にこの共同声明に金委員長の「戦略的決断」が込められていると主張した。戦略的決断というのは、北朝鮮が経済発展のために体制保証を前提に、核兵器保有を諦める国家戦略の根本的な方向転換を意味する。

 トランプ大統領は会談が終わった後、米国民に、「北朝鮮の核問題が解決されたから、足を伸ばして寝られる」と言った。金委員長が核放棄の戦略的決断を下したのか、まだ分からないが、トランプ大統領が金委員長に完全に入れ込んでいるのは明らかだ。トランプ大統領は、「彼と私は本当に相性がよく合う」としながら、「私は彼を信じて、彼も私を信じる」とした。

 北核問題を解いていく過程で“信頼欠乏”が重大な障害要因に挙げられてきたことを思えば、トランプ大統領の金委員長に対する“無限信頼”は大切な資産だ。

 いまや金委員長はこれ以上迷わずに、戦略的決断を下した事実を一つずつ立証する番だ。その方法は非核化の実践である。

(鞠箕然ワシントン特派員、6月21日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。