“自画自賛外交”という情けない現実


中国要人との会食2回のみ

 「易地思之(立場を替えて考える)」。大統領府高位関係者はこの四字熟語が13~16日、文在寅(ムンジェイン)大統領の訪中成果を圧縮的に表現していると言った。

習近平氏(右)と文在寅氏

14日、北京で握手を交わす中国の習近平国家主席(右)と韓国の文在寅大統領(AFP時事)

 それで立場を変えて考えてみた。習近平中国国家主席が国賓としてソウルを訪ねたのに、文大統領が地方に出て留守だったならばどうか。康京和(カンギョンファ)外交部長官が習主席の腕をポンと叩(たた)いて親近感を示したとすればどうか。国賓随行団の一員として取材中の中国記者が集団暴行に遭ったとすればどうか。中国がこんな目に遭えば決して曖昧には済まさないだろう。

 両首脳が韓中関係修復および改善で合意したことは成果として評価される。だが今回の訪中は理解し難い課題が一つや二つでない。国賓訪問中、10回あった食事で、たったの2回しか中国要人と会食できなかった“ぼっち飯”は置いておくにしてもだ。

 文大統領がなぜ、あえて中国の国家的記念日といえる南京虐殺80周年追悼行事が開かれる日に北京に行かなければならなかったのか。習政権2期目の新指導部で常務委員となった5人のうちただの1人とも面会できなかった理由は何か。習主席と5時間も一緒にいて「友情を固めた」といいながら、習主席の平昌冬季オリンピック出席の約束を取れなかった理由は何なのか。

 文大統領は訪問中、中国人の歓心を買うための努力を傾けた。康外相、盧英敏(ノヨンミン)駐中大使夫妻などと共に庶民的な食堂で朝食を取る姿は今回の国賓訪問のハイライトだが、ツアー旅行客の食べ物体験と何が違うのかはよく分からない。

 ところで中国は、今回の文大統領の国賓訪問を契機に、少なくない人々が韓国が無視されたと感じ、中国がどんな国なのか認識を新たにすることになったという。

 米国と日本が好まないことを知りながらも、低姿勢になって中国に近付こうとし、結果的には冷遇論議に包まれて屈辱的外交惨事という批判まで受けた。

 自画自賛外交は国内でしか通用しない。度が過ぎれば周辺国の嘲笑を買う。増長すれば国の品格を傷つけ国益を害する。大統領が閣議で韓中首脳会談の成果を積極的に広報せよと指示し、大統領府の参謀陣がソーシャルネットワークサービス(SNS)で自画自賛する姿は真に情けない。

(キム・ミンソ外交安保部次長、12月22日付)