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北ミサイル発射、米攻撃能力を確保させるな


 北朝鮮は首都・平壌に近い平安南道平城付近から1発の弾道ミサイルを発射した。青森県西方約250㌔の日本海の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる。北朝鮮の弾道ミサイル発射は約2カ月半ぶりで、今回は飛距離がワシントンをはじめ米全土を射程に入れる1万3000㌔に達し、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と推定されている。米本土攻撃能力をちらつかせる無謀な挑発に国際社会は歯止めをかけねばならない。

 新型ICBM開発か

 トランプ米政権は今月、北朝鮮を9年ぶりにテロ支援国家に再指定し、これに北朝鮮が反発して新たな軍事挑発に踏み切る恐れが出ていた。

 韓国軍の合同参謀本部によれば、ミサイルは高度約4500㌔まで上昇し、約960㌔飛行したという。意図的に高高度に発射して飛距離を抑える「ロフテッド軌道」だったとみられ、通常の軌道であれば米本土全域を射程に収めるという。

 北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは政府声明として「新たに開発した大陸間弾道ミサイル『火星15型』の試験発射に成功した」と明らかにした上で、7月に発射した「火星14型」に技術改良を加え、「超大型重量級の核弾頭を搭載できる」と主張した。

 ただ、弾頭部分の重量は不明で、実際は核を搭載した場合より相当軽量だったのではないかという指摘もある。ネックになっている大気圏再突入技術を完成させたかどうかも分からず、今回の発射で米本土攻撃の能力が立証されたわけではない。

 だが、近年の北朝鮮は明らかに数カ月単位で技術改良に一定の成果を挙げてきた。米攻撃能力の確保が現実味を帯びているのは否めない。

 韓国の趙明均統一相は先日の記者会見で、北朝鮮の核・ミサイル開発のスピードは非常に速く、建国70年を迎える来年にもICBM完成を宣言する可能性があるとの見方を示した。

 仮に米本土への攻撃能力を確保した場合、北朝鮮はこれをカードに米国との直接交渉に臨むつもりだろう。米本土に届くミサイルだけを凍結・廃棄させるなど米国が北朝鮮完全非核化から一歩後退した形で妥協するようなことになれば、日本や韓国は北朝鮮による核攻撃の標的として取り残されてしまう。こうした米朝交渉だけは絶対に容認できない。

 今回の弾道ミサイル発射を受け、日本、米国、韓国の要請により国連の安全保障理事会は緊急会合の開催を決めた。前回9月の決議では北朝鮮にとって打撃が大きい石油の全面禁輸は中国、ロシアが難色を示し見送られたが、国連だけでなく各国独自の制裁は徐々に効果を挙げているとの見方もある。さらなる制裁強化に踏み出すべきだ。

 近海落下への備え万全に

 今回は日本の上空を通過しなかったが、近海に落下してくる北朝鮮弾道ミサイルへの備えは万全を期すべきだ。船舶や航空機への被害を防ぐのはもちろん、破片落下など万が一に備えJアラート(全国瞬時警報システム)などの情報にも細心の注意を払うよう改めて国民に呼び掛ける必要がある。