北朝鮮がまた、日本上空を通過する弾道ミサイル…


 北朝鮮がまた、日本上空を通過する弾道ミサイルを発射した。襟裳岬の東約2200㌔の太平洋上に落下し、飛行距離はグアムを射程に収める約3700㌔。

 グアムの米軍基地への攻撃能力を誇示して米国を交渉に引き込もうという狙いだろう。きょうにも、北朝鮮の国営テレビのアナウンサーが例の大げさな調子で「グアムを完全に射程に収める弾道ミサイルの発射に完璧に成功した」などと発表するのではないか。

 確かに、飛距離は着実に伸びている。しかし専門家は、大気圏への再突入に成功しているかが問題だという。弾頭を海の底から回収して検証する必要があるが、それをやっている様子はない。

 そういう意味では、浮き足立つ必要は全くない。北朝鮮は、政治的なブラフ(脅し)と実際の性能向上実験を兼ねてやっている。今度は米太平洋軍の司令部のあるハワイを射程に収める「火星14」の発射も予想される。

 国連安保理で追加制裁決議が採択され、北朝鮮は「日本列島の四つの島を核爆弾で沈める」といった表現まで使ってわが国を威嚇している。冷静に対応する日本への苛(いら)立ちも感じられる。不十分とはいえ、追加制裁の採択が効いているのかもしれない。

 北朝鮮の脅威を直視し、情勢を的確に分析する必要がある。今後は東京上空の弾頭ミサイル通過も想定される。Jアラートの運用、そして何よりミサイル防衛や敵基地攻撃など抑止力の向上を急がねばならない。