幻想だった習主席との対話と説得


韓国紙セゲイルボ

中国サード報復の無力化を

 24日は韓中国交正常化25周年記念日である。祝砲で溢(あふ)れなければならない祝いの日だが、国内であれ中国であれ、聞こえるのは呻吟(しんぎん)の声だけだ。

ASEAN地域フォーラム

フィリピンで開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議の会合=7日、マニラ(EPA=時事)

 問題は北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)挑発に対応した韓国政府のサード(高高度防衛ミサイル)追加配備計画に、中国が昨年7月から展開している報復の程度を高めていることだ。しかも韓国政府には何の解決策もないように見える。さらに米国、日本、中国、ロシアと緊密に調整すべきなのに、これらの大使人選すら終わっていない。

 朴槿恵(パククネ)前大統領が習近平国家主席と首脳会談を行い、2015年「抗日戦勝利70周年」軍事パレードに参加した時、韓中関係は最高潮だった。「経熱」が「政熱」へ急進展されるという楽観的な期待も広まった。

 しかし、昨年サードの韓半島配備が決定されると、中国は京劇の仮面早変わりのように、あっという間に本性を現し始めた。今月予定の韓中首脳会談開催も不透明になっている。秋の中国共産党19回全国代表大会、来年3月の両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)等、権力再編期の息詰まる日程からして、首脳会談は相当期間、はっきりしないだろう。

 中国は当初からサードを理解しようとしなかった。「対話で中国を説得する」というのがまったく韓国だけの希望事項だったわけで、心の迷いにとらわれて、いまだに習近平を「習大大(習おじさん)」と感じているのではないのか反省する必要がある。

 習近平は「安而不忘危、存而不忘亡、治而不忘乱」という国家安全観を持っている。この句は「国家が安定しても危機を忘れてはならず、存続しても滅びる可能性があることを忘れずにおくべきで、よく治めていても混乱を忘れてはならない」ということだ。しかし、今この句は最悪の状況にも最高の結果を出すという習主席の「マジノ線思考」を説明するのにしばしば引用される。

 では、韓国にとってマジノ線思考とは何か。中国の報復を無力化する戦略であろう。空港の免税店でアルバイト娘が言う。「中国人観光客が減って、中国語を話す機会が減りましたが、代わりにベトナムのお客さんが結構来ますね。彼らは少し韓国語も話します」

 今となっては、中国でなく東南アジア諸国、特に米中間を行き来して実益を取っているASEAN(東南アジア諸国連合)会員国にも韓流ブームが吹いているというのがうれしいだけだ。中国の報復は無意味だということを見せることができるASEAN内の友軍構築が切実である。

(申東柱(シンドンジュ)経済部次長、8月6日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。