キューバ危機と北のICBM


韓国紙セゲイルボ

歴史は繰り返されるのか

 「タカ派ハト派」という言葉はいつ出てきたものだろうか。歴史は意外に短い。異説がなくはないが、キューバ・ミサイル危機の時の1962年10月28日、米ホワイトハウス国家安全保障会議で初めて出てきた言葉だという。

金正恩

4日、北朝鮮が主張する大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の発射成功を喜ぶ金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信電子版より・時事)

 攻撃必至を叫んだ強硬派はタカ派、対話を主張した宥和(ゆうわ)派はハト派と呼ばれた。以後、この2派は米国政策決定に二つの翼の役割をする。

 米中央情報局(CIA)は、「ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設している」とジョン・F・ケネディ大統領に報告した。朝食中だったケネディは食事を終えたのだろうか。米国は大騒ぎになった。

 8日後、ケネディは対国民演説を行った。「私たちの勇気と約束がこの瞬間ほど試されていることはない」。第3次世界大戦必至の意思も明らかにした。

 米軍には非常事態が宣言された。キューバ封鎖はこれから始まる。こうした決定はどのように下されたのだろうか。

 カリブ海に進入したミサイルを積んだソ連船舶。タカ派は主張した。「待つこともない。爆撃しなければならない」。一度も本土攻撃を受けたことがない米国。レッドラインは明らかだ。第3次世界大戦を甘受しながら、禍根を断とうとしたのはこのためだ。

 「キューバ基地は防御用」というフルシチョフ・ソ連共産党書記長の言葉が耳に入ってくるわけがない。フルシチョフは結局屈服した。10月末、基地閉鎖を約束した。引かなかったとすればどうなっていたか。キューバは廃虚になったのだろうか。

 10年後、東西デタントはこの時に設置されたホワイトハウス~クレムリン間のホットラインで始まったという。歴史のアイロニーだ。

 歴史は繰り返されるのか。北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)。「米国を火の海にする」という。米国人は何を考えるだろうか。

 ニッキー・ヘイリー駐国連米国大使の言葉、「われわれが持つ能力の一つは強大な軍事力だ」「必要に迫られれば、軍事手段も辞さない」。

 フォックスニュースは、「シーザーがルビコン川を渡って歴史を変えたように、北朝鮮のICBMは歴史的ポイントになりうる」と論評した。

 ドナルド・トランプ大統領は何を考えるだろうか。「ケネディの足元にも及ばない人物」と呼ばれることを心配して、短慮に走らないだろうか。タカ派とハト派はいま何の話をやりとりしているだろうか。

(姜浩遠(カンホウォン)論説委員、7月6日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。