「盧武鉉・ブッシュ」の既視感? 危険な次期政権の対米自主外交


韓国紙セゲイルボ

 米外交界では韓国で左派政権が登場すれば、韓国の進歩政権と米国の保守政権が衝突した盧武鉉(ノムヒョン)・ジョージ・ブッシュ大統領時代のデジャブ(既視感)になるという見方が出ている。

弾道ミサイル

北朝鮮で12日行われた弾道ミサイル発射の瞬間の映像(朝鮮中央テレビより・時事)

 盧元大統領は米国を揺さぶりながら、自主外交とバランサー役割論を提起したが、ブッシュ氏はこれに対抗して、在韓米軍の戦時作戦統制権移管、在韓米軍が韓半島以外の地域作戦に投入される戦略的柔軟性のカードで盧武鉉政府を圧迫した。

 もっとも、盧元大統領は表面では大声を上げるものの、水面下で盧元大統領の腕をねじったブッシュ氏に白旗を揚げた。盧元大統領は結局、戦作権移管、韓米自由貿易協定(FTA)締結、イラク派兵などブッシュ政府の要求を全部受け入れた。

 現時点での最有力候補、共に民主党の文在寅(ムンジェイン)氏は再び戦作権の早期移管を主張している。またサード(高高度防衛ミサイル)配置問題は次期政府が検討すること、開城工業団地の再開、韓米首脳会談の前に南北首脳会談を行うなどと発言して“自主外交”の復活を予告している。

 もし文氏が大統領となり、現在の公約をそのまま押し通せば、盧元大統領当時よりはるかに危険千万な韓米間の対立局面が展開しかねない。

 7日、米下院外交委の北朝鮮聴聞会では文氏の対北朝鮮観が話題に上った。証人として出席したスミ・テリー元国家安保会議(NSC)韓国担当官は、「韓国で進歩勢力が大統領選で勝利する可能性が大きくなっており、その場合、対北朝鮮政策でトランプ政府と韓国政府間のスキ間が広がる恐れがある」と証言した。

 米外交問題評議会(CFR)はスコット・スナイダー専任研究員などが作成した「韓国の中心軸、ソウルの戦略的選択と北東アジアのライバル対決」という報告書で、「韓国が中国との関係を広げていくも、米との強力な同盟関係を維持し、それに伴う危険をヘッジしなければならないだろう」と強調した。

 安倍晋三首相は10、11日トランプと会って、70万人の雇用を作るという“朝貢外交”を見せ、トランプも専用機搭乗、別荘招待、ゴルフの“歓待3種セット”で応じた。このように日米関係が堅固になるほど韓米関係はその下部構造に編入されるはずだ。文氏が表面では威勢よく大声を上げても、内側では譲歩するものは全部譲った“盧武鉉・ブッシュ”時代のデジャブにならないように、どんな腹案を準備しているのか気になる。

(鞠箕然(ククキヨン)ワシントン特派員、2月12日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。