「ヘル朝鮮」を「ヘブン韓国」に


韓国紙セゲイルボ

扇動と誇張報道は自制を

 韓国がいま最も危険な理由は知識権力エリート集団が党派争いに狂奔し、中産層は日々崩れていっているという点だ。もうこれ以上の混乱とデモと扇動と誇張報道は自制されなければならない。

マティスと黄教安

2日、ソウルで会談に臨むマティス米国防長官(左)と韓国の黄教安大統領代行(首相)(AFP時事)

 大統領の弾劾審判は憲法裁判所に任せればいい。いかなる結果が出ようと承服し、社会的安定と冷静さを取り戻さなければならない。理念戦争、権力戦争、言論裁判は国益を害するだけである。

 政界が与党と野党の牽制(けんせい)と均衡ではなく、体制と反体制の対立様相を続けるなら、国民生死の問題に発展するかもしれない。韓半島をめぐる国際情勢は米・中・日・露の豪腕指導者に囲まれているのだ。

 「ヘル」(地獄)という言葉が青少年の間で飛び交っている。自己卑下的・冷笑的未来展望は本当に韓国社会を地獄に導くかも知れない。国民所得2万5000㌦で経済協力開発機構のメンバー国が地獄というのはどういうことか。しかも、なぜ「朝鮮」なのか。朝鮮は北朝鮮がよく使う言葉で、南側は韓国だ。

 韓国民は自国を卑下しているが、外国人の見解はそうではない。韓国に長期滞在したことがある英国の学者は韓国の肯定的未来を20件以上羅列し、明るい展望を示している。そのうちの核心は情報化時代のコメである半導体強国とインターネット強国、文盲率ゼロ、社会的躍動性を挙げている。それは「ヘブン韓国」だ。

 例えてみれば、われわれはいま国の胴体がない状態だ。胴なしで右と左の翼だけがある。国は混乱に陥って、再び亡国の憂き目を見るかもしれない。国際社会は徹底的に国益中心の勢力均衡の場なのだ。

 今年の大統領選挙は韓半島の運命を決めるものと見られる。現在の韓国社会は嫉妬(しっと)と呪いの黒呪術(じゅじゅつ)が大半を占める。人に対する寛大な心と配慮は見いだせず、すべての問題を暴力的に解決しようとする雰囲気が充満している。

 これはもちろん高度成長の後遺症に伴う拝金思想と物神崇拝のせいもあるだろうが、何より先進国に入る障壁の前で、創意性の不足で歴史的後退をしているためだ。

 歴史的回想は現在の新しい歴史展開のために重要だが、時々現在を過去の犠牲にしてしまう欠陥を持っていることも肝に銘じなければならない。

(朴正鎭(パクジョンジン)セゲイルボ平和研究所長・文化評論家、1月17日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。