公職者に配偶者の金品受領通報義務


韓国紙セゲイルボ

規制の度が過ぎる請託禁止法

 楚の葉公が孔子に自慢した。「わが村に正直で有名な人がいる。自分の父が他人の羊を盗むのを見て役所に告発した。本当に正直な人ではないか?」

 孔子曰(いわ)く、「わが村の正直さとは違う。わが村では父は必ず息子を匿(かくま)い、息子は必ず父を庇(かば)う」と。

 孔子が伝えるメッセージは、盗みは当然処罰されるべき法律違反行為だが、家族が告発することは正しくない。父子の間の天倫は法より優先する、ということだ。

 しかし、今はこれが美徳ではない。請託禁止法が大韓民国を支配しているからだ。新法によれば、公職者と教職員、マスコミ人は配偶者が金品などを受けたことを知れば、直ちに当局に通報しなければならない。でなければ3年以下の懲役、3000万ウォン以下の罰金刑を受ける。家族の言動を当局に告発する北朝鮮の「ビッグブラザー」の殺伐とした風景が浮び上がる。

 清廉社会の実現は至上課題であることは明らかだが、配偶者に通報義務を強制するのは度が過ぎる。妻が受けた金品やもてなしまで公職者の夫が責任を負うべきだとすれば、新種の連座制に他ならない。

 2011年、金英蘭(キムヨンナン)元国民権益委員長が提案した当時の正式名称は「不正請託禁止および公職者の利害衝突防止法」だった。国会審議の過程で「利害衝突防止」の部分が落ちた。国会議員の請託と嘆願活動を制約するという理由からだ。代わりに私立教員と報道機関を入れて、そのように包装された。

 対象者が幾何級数的に増え、講演料まで国家が策定するコメディーのようなことが広がった。国政監査で「学生が教授に缶コーヒーを与えたり、カーネーションを贈るのも違反になるか」という議員の質問に、成永薫(ソンヨンフン)同委員長は「法令違反となる」と答えた。数日前、「成績評価の時期ならともかく、違法でない」と言った自身の発言と反する。

 機関長さえこのように解釈がぶれているのに、この規定をいったいどのように守れというのか。実際に同法が施行されるや、大学生が教授に缶コーヒーを与えたという呆れた通報もあった。

 腐敗清算の大義に反対する国民はいない。先進社会へ背伸びしようとするなら、あちこちに寄生する腐敗の毒きのこを根絶しなければならない。だが、名分と趣旨が良いといって、結果まで良いという法はない。請託禁止法はすでに過剰規制で庶民経済を縛りつけている。

(●然國(ペヨングク)首席論説委員、10月14日付)

●=衣の亠の下に非をが入る

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。