憲法裁で審判される〝ハングル専用法”


韓国紙セゲイルボ

 訓民正音(ハングル)が頒布されたのは世宗28年(1446年)。訓民正音解例本の冒頭に、「わが国の語音は中国とは異なり、漢字と噛み合っておらず、そのため愚かな民はその意を述べることができない者が多い。予(世宗(セジョン))はこれを憐れに思い、新たに二十八文字を制定した。人々が簡単に習い、日々用いるのに便利なようにさせることを願ってである」とある。

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ソウル光化門の世宗大王像。訓民正音をつくり民衆に普及させた( seoul navi )

 当時の文盲率は9割近かった。民も文字を分かるようにしようとした。世宗が「大王」と呼ばれる所以である。しかし、経書を諳(そら)んじた官吏は大王の意を解せず、ハングルを閨房の女性が書く文字だとして「暗文」と呼んだ。

 ハングルだけを固有文字と規定し、事実上、公文書での漢字使用を禁じる「国語基本法」が憲法裁判所の審判台に上がるという。この法が制定されて11年経(た)っている。

 意見が入り乱れている。韓国語と同じ系統の日本語では、かなを使い始めた後、漢字・かな併記をめぐる論議を行ったことが一度もない。なぜ韓国では論議が広がるのか。

 韓国語の60%は漢字語だ。漢字を知らずにその意味を正しく理解することはできない。そもそも朝鮮の史料は漢文で成り立っている。朝鮮王朝実録さえ全部翻訳されていない。数多くの漢文史料が放置されているのだ。

 「漢字を教えるのをやめよう」というのは自ら文盲になるということだ。数千年受け継いできた文化の根を法律で根絶してはならない。

(姜浩遠(カンホウォン)論説委員、5月12日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。