「卑語」繰り返す北朝鮮


韓国紙セゲイルボ

国の品格を自ら貶める結果に

 北朝鮮が吐き出す卑語や穢(きたな)い言葉は傲慢(ごうまん)で無礼なだけでなく、ほとんど呪いといっても過言ではない。朴槿恵(パククネ)大統領に対する呪詛、卑語が2カ月近く続いている。

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北朝鮮軍砲兵部隊の演習を視察する金正恩第1書記(中央)(25日放映の朝鮮中央テレビより・時事)

 言葉は人格を表す。話す内容と態度で人の品位を計ることができるという意味だ。これは国の品格にも適用される。国家を代表する人の言葉や機関紙等に発表される用語が即、その国の品位を表す。

 北朝鮮が韓国大統領に対して卑語を投げつけるのは昨日今日のことではないが、金正恩(キムジョンウン)執権以後、さらに頻繁に卑語を吐き出し、その程度も強くなっており、開城工業団地完全中断発表以後、激しさを増した。

 祖国平和統一委員会、国防委員会等、公式機関と宣伝媒体を動員して「悪性腫瘍」「低能」「バカ××」等、悪意を込めた卑語を使い始めた。労働新聞一面を使って、朴大統領を「逆賊」「特等売国奴」「米国産オウム」等の卑語で罵倒した。

 先週は統一戦線部傘下の祖国統一研究院が朴大統領に低劣な人身誹謗(ひぼう)を浴びせる白書まで出した。「天下の悪女」「国民皆を取って食べる邪鬼」「怪物」「民族の特等厄介者」等、とても口にできない穢い言葉を吐き出している。

 北朝鮮の卑語の対象は国を問わない。米国の指導者と国連の最高位級要人に対しても卑語を使っている。朝鮮中央通信はオバマ米大統領を「猿顔」と言い、国防委政策局報道官はジョン・ケリー米国務長官を「醜いしゃくれアゴ」と言った。祖平統傘下の「ウリ民族どうし」のウェブサイトはゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権最高代表を「屋台で食いものを売る市井の輩」と言った。

 「行く言葉が良ければ来る言葉も良い」「一言で千両借金を返す」。これは子供でも知っている韓民族のことわざだ。「棺桶に入っても卑語は吐くな」。これは「言葉は死なずに永遠に生きるので、いつも気を付けなければならない」という意味だ。先祖はこういうことわざを再確認しつつ、言葉に用心した。だが、北朝鮮は同じ民族ながら、こういうことわざを知らないようだ。

 韓国が金正恩に対して礼儀正しく忠告の一言でもすれば、北の党・政・軍機関は「最高尊厳に対する毀損だ」と大騒ぎする。自身の指導者に対する外部の忠告には怒りながら、韓国大統領や世界指導者に対しては卑語を吐き出す。二重性も甚だしい。

 自らの指導者が尊厳ならば、相手方の指導者も尊厳なのだ。卑語は北朝鮮自らにも得しないことを知るべきだ。

(金ヨルス誠信女子大教授・国際政治学、3月25日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。