世界的“トランプ現象”は韓国にも?


韓国紙セゲイルボ

有権者はポピュリスト見抜け

 ドナルド・トランプ氏が米共和党大統領候補の席をつかむ一歩手前にまで来ている。彼が本選で民主党候補を破ればホワイトハウスの主になる。

ルペン党首

昨年12月13日、フランス北部エナンボモンで、地域圏議会選の票を投じるFNのルペン党首(EPA時事)

 トランプ現象は有権者の既得権勢力に対する怒りの噴出というのが最も一般的な解釈だ。しかし記者が見るに、日に日に窮乏する米国人の暮らし、雇用不足、富む者は益々富み、貧しい者は益々貧しくなるの両極化現象にその原因がある。

 問題はトランプ現象が、単に米国だけのことでないことだ。フランスでは極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペンが次期大統領選挙走者として急浮上している。ルペンとトランプは政治的に志向するところで見れば一卵性双生児だ。

 英国では極右ポピュリスト政党の英国独立党(UKIP)がナイジェル・ファラージ代表の陣頭指揮で、英国の欧州連合(EU)脱退を主導している。彼もやはり反移民政策と既得権政治打破を叫んでいる。

 ドイツでも極右新生政党の「ドイツのための選択肢」(AfD)のイェルク・モイテン共同党首が、「われわれも壁を建てよう」と主張し、オランダの極右政党・自由党(PVV)のヘルト・ウィルダースもトランプに追従している。

 米国の進歩指向の時事総合誌「アメリカン・プロスペクト」は全世界に広がっているトランプ現象はこの30年余り続いた世界化の逆風だと診断した。程度の差はあるものの各国が世界化を持続的に推進し、その結果、無慈悲な一人勝ちシステムが構築されたという主張に有権者が共感していると同誌は指摘した。

 トランプ現象は韓国の4月総選挙にも一定部分影響を及ぼす可能性がある。世界化だけが生きる道の韓国はいま深刻な両極化現象に苦しめられている。

 これは極右と極左勢力が根をおろす肥沃(ひよく)な土壌となりうるのだ。韓国経済は先進国と新興国に挟まれ、どちら側で問題が生じても、その隙間で喘がなければならない。

 また4月の総選挙のころにはトランプ氏が共和党候補となり、韓国の安保タダ乗り論を持ち出して、同盟国に圧力をかける可能性が大きい。

 韓国の有権者は総選挙においてもトランプ現象に便乗したポピュリストを見抜き、世界的なトランプ現象の荒波を乗りこなす国会議員を選ばなければならない。有権者はかつてなく目覚めていなければならないときだ。

(鞠箕然(クッキヨン)ワシントン特派員、3月14日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。