元慰安婦の慰労と説得は朴大統領が直接行うべき


韓国紙セゲイルボ

 韓日両国の日本軍慰安婦交渉実務を導いた外交部の林聖男次官が29日、元慰安婦から強く叱責された。同日午後ソウル麻浦区の韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)憩い場で、林次官に会った李ヨンスさんは、「あなたは、どこの国の所属か。日本とこういう交渉をすると(事前に)知らせなければならないのではないか」と叱り飛ばした。金復東さんは、「政府と政府だけで疎通した後、交渉が妥結したと発表するのはおかしい」とし、日本の法的謝罪がないという弱点を指摘した。

 国内外の客観的評価と関係なく、両国の政府間交渉妥結内容を最善の結果と見る当事者はただの1人もいない。元慰安婦らの抗議のとおり、日本の国家犯罪の法的責任が曖昧で空白状態として残ることになった点が代表的だ。元慰安婦の棘(とげ)の刺さった胸にまたクギが打ち込まれたというわけだ。

 交渉妥結前後の不都合な点をいちいち取り上げれば終わりがない。真の解決のカギである「謝罪の真正性」からして、疑いを買うほかはない状況である。元慰安婦らが様々な面で不十分だった交渉結果に鬱憤(うっぷん)を炸裂(さくれつ)させたことはあまりにも当然だ。

 韓国政府が批判の矢を避けられない最も大きい問題の一つは、やはり疎通だ。事前に元慰安婦に意見の一つも尋ねず、第三者どうし決めて発表したことは大きい失策だ。もちろん政府間交渉は容易ではない。韓国政府が元慰安婦らとの事前疎通に注力したとすれば、最終妥結まで行く道ははるかに遠く険しいものとなっただろう。だが、必要な事前手順を踏みながらも、未来指向的結実を引き出すのは一国の政府が必ず備えなければならない力量だ。そのような力量がなかったり、配慮が足りなかったために、元慰安婦らから、「(交渉を)やりなおせ」という言葉まで聞くことになったのだ。自縄自縛だ。

 元慰安婦と会った政府要人は外交部の2人の次官だ。林第1次官の他に趙兌烈第2次官。林1次官は挺対協憩い場を、趙2次官は京畿道広州のナムヌの家を訪問して、政府の立場を説明した。これもまた理解が簡単ではない。両国政府がどうにかして合意しても、仕上げをうまくやろうとするなら、被害者の受け入れと同意が必須不可欠だ。それでもなぜ大統領や国務総理の代わりに次官が来たのか分からない。すべてにこのような形だから、不通という声を聞くのではないのか。

 両国間慰安婦交渉が妥結したことは誰がなんと言っても外交的成果だが、残された課題も侮れない。最優先的に元慰安婦らの心を溶かす処方が出てこなければならない。それさえ正しくすることができないならば、妥結は中長期的に光を見にくい。(12月30日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。