韓日、慰安婦問題で意味ある転機


韓国紙セゲイルボ

安倍首相「深い謝罪」と基金創設

 慰安婦問題は「言葉」でも「金」でも簡単に解決できない根源的な人権と人間安保の問題であり、両国政府関係者が感じる心理的負担は相当に重いものがある。今回の合意は韓日国交正常化50周年の年が閉じる間際に、これ以上、両国関係の不便さを放置できないという切迫感が日本政府を含み、皆に作用したものと判断される。

28日、ソウルで、慰安婦問題での合意に関する日韓外相会見のニュースに見入る元慰安婦の女性(右)(EPA=時事)

 通常、慰安婦問題は「責任所在」「真の謝罪」「意味ある後続措置」の三種類の懸案に対する日本の姿勢を問うている。それからすれば、軍の介入を認めた責任所在は政府が間接的ではあるがはっきりと認めたものと解釈でき、安倍首相の名義で直接「深い謝罪」という表現で言及したので、右翼的情緒が強い安倍政権の真正性が相当部分含まれたと見られる。また金額の多寡を論じる前に、日本政府が全面的に支出した基金を作るとしたので、過去より一歩踏み込んだ措置であることが明らかだ。

 韓日外相の共同記者会見文は100%満足できる水準ではないが、韓日関係の全面的な発展のために意味ある転機を作った。

 今回の合意を可能にした動力は2種類に要約される。何よりも11月1日、ソウルで開催された韓日中首脳会談で3カ国首脳は3国間協力が北東アジアはもちろん世界平和の礎石という点で認識を共にしたことだ。

 二つ目は、かなり以前から、韓国と日本の両国国民は両国関係が非常に複雑な高次方程式であり、特定イシューが他のすべての領域を支配してはならないと声を高めた点も今回の妥結に影響を及ぼした核心要素だったと考える。

 韓国と日本の関係はもはや「韓日関係」にだけ留まらない。両国は国際社会で政治・経済・社会文化的にアジアの代表走者になった。特定の一国がすべての問題を解決した時代が過ぎて既に久しい。韓国と日本は多様なグローバルイシューに対して互いに協力すべき外交環境に直面している。北朝鮮問題解決で韓日は申し分なく緊密なパートナーシップを維持しなければならない。

 もちろん今回の妥結に皆が満足するものではない。「グレーゾーン」と表現する法的責任の部分は、韓日間の認識の差があまりにも大きく、われわれが積極的に解釈することであって、日本が自ら法的責任に言及することは容易ではなく見える。今後も当分この問題は「グレーゾーン」に留まる見通しだ。

 また、日本政府の今回の立場を韓日関係に存在するすべての懸案を覆ってしまおうと拡大解釈することはできない。特に過去の問題に対する日本の責任と謝罪は後続世代にも意味ある教訓として残っていかなければならない。

(朴仁★(パクインフィ)梨花女子大国際大学院教授・国際政治学、12月30日付)
★=火へんに軍

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。