統一政策、まず目標を明確に


韓国紙セゲイルボ

成果見えず漂流の懸念も

 「統一大当たり」を打ち出した政府の統一議論を見守りながら、政策の目標と手段に対する構想はあるのかとの疑問を消せない。議論は溢(あふ)れ出るのに、具体的成果が見えない現況は、統一政策が漂流しているのではないのかとの憂慮まで生じさせる。

 振り返れば、統一政策は周辺強大国に対する説得を強調して出発した。中国と米国などの支持を確保するための多様な外交的努力が展開された。しかし、このような努力には当初から限界が明らかだった。

 習近平政権スタート後、対話と安定を引き続き強調する中国を説得するのは容易ではない課題であった。同盟国・米国もまた最近、対北制裁を言いだしたことから分かるように、韓半島で変化を追求しようとする意思はない。

 以後、統一政策の焦点は自然に北朝鮮との対話に移っていった。統一を実現するために北との対話は必須という冷厳な現実を悟った結果だ。政府は高位級接触に続き、統一準備委員会名義の会談を提案したが、北朝鮮はビラ散布中止、5・24措置(2010年の天安艦事件をきっかけに李明博元大統領が取った南北間の交流中断措置)解除、韓米合同軍事演習中断などを前提条件として、韓国との気力の戦いに集中している。

 このような状況で政府の議論は統一が提供する経済的機会を強調することで、また原論に立ち返ろうとする雰囲気だ。統一準備委員会では、統一が国際資本の投資を触発させ、投資の果実がまた世界経済に流れる好循環を触発させる「大当たり」になるとの未来図を広げた。北朝鮮の呼応有無に関係なく、統一を引き続き追求するという意思だ。

 しかし、この政府の統一議論には疑問が生じる。北朝鮮の態度が簡単に変わるようでもなく、国内的にも統一政策をめぐって異見が拡大しているからだ。

 それではどのようにすべきか。統一を推進し、「大当たり」にするための明確で実現可能な戦略が必要だ。統一政策の目標を明らかに設定して、またそれを達成する方法に関するロードマップを用意しなければならない。特に緊急なのが統一政策の目標を明らかにすることだ。

 今の困難は相当部分、目標の不明確さから生じたものだ。統一基盤を作ろうとする政府の統一政策が韓半島平和を維持することに目的があるのか、でなければ多少の対立と不安がありながらも、北朝鮮を統合させるための準備を進めることに力点が置かれているのかを明らかにしなければならない。どこに力点を置くかにより、現在と未来にしなければならないことの性格と順序が変わる。

 また目標を明らかにすることは北朝鮮に明確なメッセージを送って、国内で統一政策をめぐる不必要な論争の広がりを防止することにも寄与するだろう。

(金材澈〈キムジェチョル〉カトリック大教授・国際政治学、2月27日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。