強化された安倍首相の政局掌握力


韓国紙セゲイルボ

景気回復実現が改憲環境に

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「2014年報道写真展」を訪れ、自らが写ったパネルにサインする安倍晋三首相20日午後、東京中央区の日本橋三越本店

 先ごろ行われた日本の総選挙の結果で、安倍政権は長期政権の踏み台を用意し、安倍晋三首相の政局掌握力がより一層強化された。

 しかし、少なくとも、2018年まで長期にわたり安倍首相が政権にとどまる可能性は明らかになったが、首相が追求する憲法改正と国民が願う経済回復の葛藤の中で、際どい綱渡りをする可能性も大きくなった。

 選挙結果が出るや否や、安倍首相は憲法改正を直ちに推進しそうな態勢を見せた。しかし、今回の選挙で、憲法改正を直ちに推進できる環境がつくられたわけではない。衆議院で与党が3分の2の議席を持ったといっても、参議院で3分の2を獲得しなくてはならないためだ。

 また、安倍首相が実質的に憲法改正を推進するためには、経済を上昇局面に持って行かなければならないという課題が残っている。景気を回復するためには、第3の矢である成長戦略を本格的に実施すべきで、これは安倍政権の支持勢力の農業など斜陽産業を自由化して開放化しなければならない政治的な負担も大きくなる。

 結局、アベノミックスの成功こそ、安倍首相の念願である憲法改正ができる環境をつくることができる。従って、参議院選挙前に安倍首相は自身の支持勢力を結集して、経済に対する成果を出さなければならない。

 もし、来年の経済が今より悪くなれば、安倍政権は参議院で勝利できないのはもちろん、安倍首相の政治的な生命さえ保つのが難しくなる可能性が大きい。

 このような状況を考慮すれば、安倍政権が韓日関係改善に集中しても、政治的な利益は少ない。特に最近、日本の韓国に対する世論が悪化している状況で、慰安婦に対する謝罪をするということは、安倍首相の政治的支持を弱化させることになるし、何よりも安倍首相の所信とは合わない。

 このような時期であるほど、韓国は慰安婦に対する日本の態度変化を待つよりは、韓国の方から積極的に出口を開く作業をしなければならない。

 このためにも、韓日高位級チャンネルを新設して、対話の通路をより一層強化させる時である。

(陳昌洙〈チンチャンス〉

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。